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白内障が初期でも手術…理由は「老眼鏡をかけたくない」から【一生見える目をつくる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月30日 9時26分

写真

老眼鏡をかけたくなければ多焦点レンズを

【一生見える目をつくる】#15

 白内障は、水晶体が加齢で濁り、見えづらくなる病気です。現在でもWHOによる世界での失明原因の第1位は白内障です。唯一の治療法は、眼内レンズと呼ばれる人工の水晶体を、濁った水晶体と交換する手術となります。

 近年、老眼治療を目的として、白内障が軽症でも、手術を選択する方が日本でも少しずつ増えています。

 眼内レンズのひとつに、多焦点レンズがあります。遠くから近くまで焦点を合わせられるようにした眼内レンズで、これを目の中に挿入することで、眼鏡がほぼ不要になります。眼鏡というのは、近眼用だけでなく、老眼鏡も含みます。

 ただし、正確には「白内障治療=老眼治療」ではありません。老眼は目のピントの調整力が衰えることで生じます。白内障治療は水晶体を人工のものに交換し見えやすくしますが、調整力を若い頃と同様にするわけではありません。ですから、眼鏡とおさらばすることも目的にするなら、多焦点レンズを選ばなければなりません。

 白内障の眼内レンズには、多焦点レンズとは別に単焦点レンズがあります。保険適用になっているのは単焦点レンズで、通常の白内障手術で使用するのはこちらのレンズとなります。

 単焦点レンズはその名が示す通り、遠・近・中のどこかひとつにピントを合わせる眼内レンズ。「遠」、つまり「遠くにピントを合うようにしたい」という場合、近くは見えにくいので老眼鏡が必要です。「近」にピントを合わせれば、老眼鏡は不要になるものの、遠くを見るときは眼鏡が必要になります。この「眼鏡とは縁が切れない」ということを、どう捉えるか。普段はどのような生活習慣で、どんなときに「見えない」という不便を強く感じているのか--。

 たとえば、「遠くが見えずに不便を感じるのは映画館で映画を見るときか車の運転ぐらい。細かな字が見えないことのほうがストレス」という場合。これなら、単焦点レンズを近く用に設定して裸眼で近くが見えるようにしておき、遠くはこれまで通り近眼用の眼鏡を使い続けるというスタイルでいいかと思われます。

 一方、多焦点レンズにすると、前述の通り、遠くから近くまで満遍なく見えるようになるので、一般的に老眼鏡も遠く用の眼鏡も不要になります。

 ただ、「一点だけをくっきりとクリアに見る」という点では、単焦点に劣ります。夜間の見え方の不具合(ハロー・グレア現象)も、多焦点レンズを使用した際に起こりやすいといわれています。自由診療なので、単焦点レンズよりも費用がかかります。

 多焦点レンズにするか、単焦点レンズにするか。迷ったなら「術後、どんな見え方を希望するのか」をまずよく考えてみることがポイントとなります。なお、私のクリニックでは、老眼初期で、老眼鏡をかけたくないという方には、多焦点レンズをお勧めすることが多いです。

(荒井宏幸/クイーンズ・アイ・クリニック院長)

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