1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

かかってくる電話はさまざま…何度でもどんな内容でも納得いくまで対応【老親・家族 在宅での看取り方】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月5日 9時26分

写真

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

【老親・家族 在宅での看取り方】#96

 患者さんやご家族への電話対応は、私たちが日頃から気を配って行っていることの一つです。

 その内容は、往診日の打ち合わせといった事務的なものだけではありません。病状や薬についての質問の電話もあれば、ご家族が患者さんの体調の変化で不安になりどう対応すればいいかの問い合わせの電話もあります。

 1人暮らしの患者さんでは、特に用事はないけれど、だれかと話して心を落ち着けたいというものも。毎日、多種多様な用件の電話がかかってきます。

 何度か電話を頂いている患者さんの中に、自閉症スペクトラム障害と、てんかんを患われている50代の男性がいます。この患者さんの場合、「人とのコミュニケーションが苦手」「物事に強いこだわりを持つ」といったパーソナリティーを持ちます。

 また、てんかんは脳内で異常な電気的な興奮が発生する脳機能障害で、発作的にてんかん症状を繰り返します。よくある症状としては、口がもごもごと動いたり、突然意味をなさない言葉を話したり、時に意識を失うこともあり、また全身をこわばらせたり、手足や顔面の筋肉がピクピク動いたり、脱力したりすることもあります。

 この患者さんの場合、日中は施設にいることがあるため、施設と自宅とその都度、臨機応変に診療場所を変更していますが、そのこともあって、ご本人から「次回は自宅でよかったですね?」など確認の電話をその都度頂いています。

 ご本人が受給されている医療費補助制度「自立支援医療受給者証」の更新のタイミングなどもよく気にされ、更新できているかを確認する連絡もしばしば頂いています。

 ご本人が自らの言葉で私たちに伝えたい時は、こちらもしっかり傾聴しながら「ということは、○○ということですかね?」など一つ一つ反問しながら、意図を酌み取り対話を進めていきます。そして会話が一段落した後「かしこまりました。大変助かります。いつもありがとうございます!」とお伝えすると「こちらこそいつもありがとうございます!」と電話口から安心されているご様子が伝わってくるのです。

 実はこの患者さんのご両親も、ご高齢で持病があり、当院で訪問診療をしています。それだけにお母さまは私たちに気を使われて、息子さんの電話を切ろうとすることが度々ありますが、そんな時も逆にお母さまに少し我慢していただき、患者さんが納得するまで対話するようにしています。

 なぜならそうすることで、在宅医療の大前提である、患者さんやご家族との信頼関係を築けると考えるからなのです。

(下山祐人/あけぼの診療所院長)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください