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白内障手術…単焦点にするか、多焦点レンズにするか【一生見える目をつくる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月6日 9時26分

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【一生見える目をつくる】#16

 ここ数年、老眼矯正もできるとして注目されている「多焦点レンズ」。多焦点レンズが開発されたのは20年以上前のことで、遠くから近くまで複数の距離に焦点を合わせられる眼内レンズです。

 1995年、AMO社の「Array」という多焦点レンズが薬事承認されました。この時は遠くと近くに焦点を合わせられる2焦点レンズでしたが、2019年、Alcon社の「PanOptix」が国内初の3焦点レンズとして承認。遠く、中間、近くに焦点を合わせられることから、近眼用、老眼用ともに、日常生活で眼鏡がほぼ不要となりました。現在は複数のモデルの多焦点レンズが国内で承認されています。

 前回の本連載で紹介した単焦点レンズ、そして多焦点レンズはいずれも白内障治療のために開発されたものですが、近年は、老眼治療を目的に、白内障が進んでいなくても水晶体を多焦点レンズに替える手術を受ける方が増えています。

 ただ、多焦点レンズは患者さんの期待度が高い一方で、全ての患者さんが満足するわけではありません。多焦点レンズは単焦点レンズと比較すると見え方の鮮明さは甘くなります。ある一点のクリアさを考えると単焦点レンズに軍配が上がるといえるでしょう。

 夜間の光の見え方である「ハロー・グレア現象」を感じる人もいます。

「ハロー現象」は、夜間の光の周りにリング状のもやがかかったように見える現象のこと。「グレア現象」は夜間の光全体がにじんで見える現象です。単焦点レンズでも起きる場合がありますが、多焦点レンズを入れた患者さんの方が多く感じておられるように思います。

 また、白内障以外の目の病気がある人には、多焦点レンズは適用になりません。

 手術の流れを紹介しましょう。手術の時には単焦点・多焦点レンズは小さく折り畳まれ、2.5ミリ程度の切開創から眼内に挿入。現在は縫合の必要もなく、合併症のとても少ない手術となりました。白内障手術は世界で最も行われている外科手術なのです。

 手術時間は正味15分程度。両方の目に手術が必要な場合も、片目ずつ行うことがほとんどです。片方の目の手術を行ってから、もう片方の目の手術までは1週間ぐらい空けることが多いですね。

 手術後は大きな眼帯をしてもらいますので、車の運転はできません。おひとりでの電車移動もお勧めしていません。付き添いの方に来ていただくか、難しいようであれば近くのホテルに宿泊されることを提案しています。片目なので転んだり、ぶつかったりしやすいからです。

 手術の翌日にクリニックに診察に来ていただき、問題がなければ透明で前が見える眼帯に変更します。透明眼帯なら、おひとりでの電車やバス移動は問題ありません。

(荒井宏幸/クイーンズ・アイ・クリニック院長)

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