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元エアロビック日本代表の大村詠一さん語る1型糖尿病との闘い

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月10日 9時26分

 自分だけがカミングアウトするのは勇気がいるけれど、みんなが言う中のひとつだったので話しやすかったですし、人それぞれに「そうだったのか」と思える考えや事情があることを学びました。

 習い事としてやっていたエアロビックからエアロビック競技に転向したのはちょうどその頃です。中学生になって少し活躍できるようになり、ある記者の紹介で転院し、それまでしていた食事制限をやめて、成長に必要な栄養はちゃんと取り、インスリンでしっかり調整する方法に変えました。

 そして、高1と高2でジュニア世界チャンピオンになりました。ただ、日本代表の合宿ではトレーニングが過酷で血糖コントロールが大変でした。どうしても練習中に補食が必要でしたから、サボっているように見えたはずです。みんなと同じ状態で戦えないことが悔しかった。

デバイスを活用して人生を楽しむ方がいい

 現役を引退したあとは、練習しない分、楽になると思っていたんですけど、運動量が減るとインスリンの効き方が変わって、それまで培ってきた血糖コントロールが通用しませんでした。デスクワークが増え、仕事量やストレス、寝不足などによるインスリンの調整が難しくなりました。

 さらに4年前から喘息を発症し、ステロイド治療を行う際は、ますますコントロールが複雑になりました。ステロイドを入れると血糖値がすごく上がるので、インスリンをたくさん入れないといけない。けれど、ステロイドの効きが切れると今度は急激に低血糖状態になってしまうのです。そのために、何度かオンラインミーティングを欠席してしまいました。「病気を理由に『働けない』は絶対しない」と決めていたのでへこみました。

 それもあって、去年からインスリンポンプを使い始めたのです。治療のためだけに生きたくはないので、医療費は高くなってしまいますが、こうしたデバイスを活用して人生を楽しむ方がいいと考えたのです。

 糖尿病を取り巻く環境はどんどん変わっています。新しい薬、新しいデバイスが次々生まれています。その分、今までになかった問題も起こりますけどね。地域における情報や治療の選択肢の格差もそのひとつです。患者が努力しなくても、ちゃんと情報が伝わるやり方を考えなくちゃいけない。糖尿病の人に限らず、病気のあるなしにかかわらず、誰もが一緒に生活するのが当たり前の社会になるように、今、地道に活動しています。

(聞き手=松永詠美子)

▽大村詠一(おおむら・えいいち) 1986年、熊本県出身。インストラクターである母の影響で4歳からエアロビックを始める。96年にエアロビック競技に転向。2016年に現役を引退し、日本エアロビック連盟理事を務め、21年から広報委員長を務める。1型糖尿病の啓発活動を行う「FamilyDesignM」のアドバイザーや、病気があっても大丈夫と言える社会の実現を目指す「ピーペック」のメンバーでもある。

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