1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「ギャンブル依存症」体験記(4)抜け出せたきっかけは「禁煙」だった

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月7日 9時26分

写真

野原広子さん(C)日刊ゲンダイ

野原広子さん(フリーライター/67歳)

 編集プロダクションは8年で畳みました。ギャンブル依存症はそれからさらに進み、気がついたら袋小路にはまって身動きがとれなくなっていました。毎月、稼いでいたお金の7割が借金返済に消え、利子だけで月20万円返していました。

 2006年に「利息制限法の上限(15~20%)を超える超高金利での貸し出しは違法」という判決が最高裁で出され、多くの人が過払い金の請求をするようになりました。私も29.2%の超高金利で借りていたので、最高裁判決をニュースで見て、知り合いのツテを頼って弁護士に相談しました。すると、650万円も戻ってきたんです。記憶にある過払い金だけでそれだけあったのですから、かなりの借金を重ねていたわけです。

 ギャンブル依存症から抜け出すことができたのは、過払い金請求から数年後の53歳のとき。不思議なことに、禁煙がきっかけでした。当時は禁煙ブーム。私は1日3箱吸うようなヘビースモーカーだったので、「チャンピックスという禁煙補助薬を飲んで禁煙しよう」という雑誌の企画にチャレンジしたんです。そして、1カ月かけて禁煙に成功しました。

 すると、なぜか麻雀やパチンコをやっても、まったく興奮しなくなったのです。ハラハラ、ドキドキしない。だから、楽しくない。楽しくないのにやるバカはいません。いつの間にか、気が付いたら雀荘に行かなくなり、平穏な日々を送っていました。

「もうギャンブル依存症に陥ることはない」と言い切れる自信があります。今も3年に1度くらいはパチンコ店に入ることもあるんですよ。でも、やってもつまらない。それに、もう一回同じことを繰り返すなんて、時間がもったいない。どうせやるなら、別のことを楽しみたい(笑)。

 ギャンブル依存症になる人って、物欲がない人だと思うんです。物を買って所有するより、お金を道具にして遊びたい、と考える人。結局、お金に“恨み”があるのだと思います。お金がないせいで苦労した経験があるから、お金を稼いでも貯め込むより、遊んでパーッと使ってやりたいんです。

 私の場合、両親に「カネがある人間が勝ちだ」など、カネ、カネと言われて育ち、それに対する反発がありました。両親は私の教育のためにお金を使ってくれず、「中卒で働け」と。ならば、と私は自力で働きながら高校に通ったんです。

 ギャンブル依存症が進み、自殺に追い込まれる人もいます。私も死んで借金地獄から逃げたくなる気持ちはわかります。ただ、私は「カネで死んだらバカだ」とも思っていました。おかげで死なずにすみました。=おわり

(構成=中野裕子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください