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改めて「クスリ」とはなにかを考える…漢字の意味は?【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月8日 9時26分

改めて「クスリ」とはなにかを考える…漢字の意味は?【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

「薬」とは…

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 記念すべき(?)第100回ということで、「そもそもクスリとは何なのか?」について少し考えてみたいと思います。

 クスリを漢字で書くと「薬」で、「くさかんむり」と「らく」が組み合わされたものです。「くさかんむり」が植物を意味していることは想像に難くありませんが、一方で「らく」はどうでしょう? クスリを使うことで体が楽になるから? クスリを使うことで楽しい気分になるから? みなさんはどのように思われるでしょうか。

 正解は、このどちらでもありません。恥ずかしながら、薬剤師になる前の私は前者だと考えていました。じつは漢字の「楽」には、「細かく切る、きざむ」という意味があるのです。つまり、植物を細かくきざんだもの、またはそれを煎じたものが「薬」なのです。

 また、国語辞典で「薬」を調べてみると、まず「病気や傷の治療のために、あるいは健康の保持・増進に効能があるものとして、飲んだり、塗ったり、注射したりするもの」という記載が出てきます。つまり、どんな植物でも良いわけではなく、良い効果があるものでなければならないということになります。自然の中には体に害がある(毒がある)植物もあり、それらも一応「薬(毒薬)」といいますが、そういったものは狩りで獲物を仕留めるためなどに使われていました。医療でいう毒薬とは異なるもので、われわれの身近なところでいうと殺虫剤や除草剤などが該当しますが、ここでの趣旨とは異なるため割愛します。

 今、「薬」の原材料として用いられているのは植物だけでなく、鉱物、菌類などさまざまなものがあります。しかし、「薬草」という言葉が一般的であることが示しているように、昔から体に良いとされる植物があり、それをきざんだり煎じたりすることで「薬」として使われていたのです。

 わかりやすいものだと葛湯があります。葛湯の材料である葛には体を温める効果や発汗作用があり、葛湯は特に風邪のひきはじめに効果的とされ利用されてきました。一方、現在でも広く使われている漢方のひとつに葛根湯があり、やはり風邪のひきはじめに効果的です。もうお気づきかと思いますが、葛根湯には文字通り材料として葛の根っこが含まれています。「薬草」としての葛と、「薬」としての葛根湯。こういった関連性に注目すると、クスリがより身近なものに感じられるかもしれません。

 そうはいっても、クスリは病気の治療や体の調子を整えるものなので、うまく使えば結果として体を「楽」にしてくれます。ですから、「くさかんむり」に「(体が)らく(になる)」で「薬」でもいいのではないかな……と考えたりもします。あくまで私の勝手な考えですけどね。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

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