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認知症の親から何度も電話が…どう対処すればいいのか【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月17日 9時26分

認知症の親から何度も電話が…どう対処すればいいのか【介護の不安は解消できる】

1日20回以上電話をかけることも…

【介護の不安は解消できる】

「近所に住む母から毎日30分おきに電話がかかってきて、電話に出ないと家まで押しかけてくるのですが……」

 そう話すのは、都内に住む50代の女性。認知症の母が暮らす実家から歩いて15分の場所に住んでいて、1日20回以上かかってくる電話に困っていると言います。実際、診察でご家族とお話をする際に受ける相談で多いのが、認知症の方による“電話攻撃”です。

 認知症になると、日時や場所といった、現在、自分が置かれている状況を把握できなくなる見当識障害が見られます。精神面では不安になりやすく、自宅に1人でいると「ここはどこなのか」「家族はどこにいるのか」と、パニック状態に陥り、安心を求めて家族に何度も電話をかけてしまうのです。

 認知症が進行すると、短期記憶障害によって直前の出来事を思い出せず、何度も同じ質問を繰り返すようになります。ですから、家族が「何度も電話をかけないで」といくら伝えても、本人からしてみれば初めて電話をかけたと思い込んでいるので、本人をさらに不安にさせるだけでなく、イライラさせてしまう恐れがあります。とりわけ注意したいのがレビー小体型認知症のケースです。特徴的な症状に「幻覚」があり、幻覚を現実に存在する人物だと見間違い「自宅に不審者がいる」と警察に通報してしまう患者さんも少なくありません。1度や2度であれば警察の方も理解してくれますが、1週間に何度も通報して、そのたびに対応するとなれば家族も疲弊するでしょう。

人と関わる時間を増やすと不安が紛れやすく

 頻繁な電話で困ったら、まずは不安にならないよう認知症の方が1人で過ごす時間を減らす工夫をしてください。日中はデイサービスに通所したり、定期的に訪問ヘルパーに様子を見に来てもらうなど、人と関わる時間を増やすと不安が紛れやすくなります。冒頭の女性も、娘さんによると日中は何もせず自宅で過ごしているとお話しされたので、デイサービスに通い出したところ、電話の回数が1日2回まで減ったと言います。

 また、認知症の方は何か知りたいことがあるから電話をかけています。そのため、会話の内容は毎回同じであるケースがほとんどです。「そういえば私が捜していたあの書類どこにある?」など、こちら側から相手に質問を投げかけると、それを捜すことに気を取られ、本来自分が気になっていた質問から意識がそれやすくなるので、ぜひ試してみるといいでしょう。

▽内野勝行(うちの・かつゆき) 帝京大学医学部医学科卒業後、同大学医学部付属病院神経内科非常勤医などを経て、金町駅前脳神経内科院長。厚生労働省認定認知症サポート医、緩和ケア認定医。著書に「記憶力アップ×集中力アップ×認知症予防 1日1杯 脳のおそうじスープ」がある。

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