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サバ缶は健康にいい? 脳の活性化や血管の若返りなどと言われるが…【第一人者が教える 認知症のすべて】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月11日 9時26分

サバ缶は健康にいい? 脳の活性化や血管の若返りなどと言われるが…【第一人者が教える 認知症のすべて】

サバにはEPAとDHAが豊富に含まれる

 今から6~7年前、「かつてないほどのサバ缶ブーム」が起こりました。

 全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアを対象に行った調査では、サバ缶は2017年で前年比35%増、18年にはさらに伸びが加速し前年比53%増。この年は、これまで魚介の缶詰売り上げで不動の1位だったツナ缶を抜き、サバ缶の市場規模が最大になりました。

 料理レシピの検索・投稿サイト「クックパッド」による18年の「食トレンド大賞」はサバ缶。食に関する調査・研究を行う「ぐるなび総研」も、18年の「今年の一皿」としてサバを選定しています。

 これほど大ブームになった理由の一つが、サバ缶の健康効果がテレビ番組をはじめとする多くのメディアで取り上げられるようになったこと。

「サバ缶第1次ブーム」と呼ばれる13年、テレビ番組で「サバ缶がダイエットによい」と紹介され、「サバ缶第2次ブーム」の16~18年には「脳の活性化」「血管の若返り」「生活習慣病予防」「ストレス軽減」「美肌」などなど。サバには必須脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれていますが、これらが健康にいいと周知されるようになったのです。

 しかも缶詰ですから骨や血合いも丸ごと食べられ、生で食べるよりサバの栄養素を多く摂取できる。使い勝手が良く、値段はお手頃で、長期保存可能。この連載の担当者の周辺でも、サバ缶ブーム時、「体にいいからサバ缶を常時ストック」とする人が続出。担当者自身は大阪に住む両親へ「認知症対策に毎日食べてね」とサバ缶48缶を送ったそうです。

ブームに乗っかるならそのまま継続を

 EPAやDHAは健康にいいとされるオメガ3系不飽和脂肪酸という栄養素で、サバに限らず、イワシ、サケ、マグロといった脂肪が多い魚に含まれています。

 EPA、DHAは血中の中性脂肪を下げる効果があることから脂質異常症の治療薬として使用されており、またオメガ3系不飽和脂肪酸が心筋梗塞や狭心症などの予防に有益との研究結果も発表されています。

 08年発表の日本の大規模臨床試験「JELIS試験」では、脂質異常症治療薬のスタチンを服用している患者さんへ、高純度のEPA製剤を追加投与したグループは、そうでないグループに対して、虚血性心疾患の発症リスクが53%減少するとの結果が示されています。

 ただ、健康のためにEPA、DHAを積極的に取ったらいいかとなると、別問題。その理由は、前回の本欄で述べたことと通じます。ブームとは関係なしにEPAやDHAが多い魚を日常的に食べている人は、もともと健康意識が強く意欲的で、積極的に体にいいことを取り入れている人でしょう。サバ缶を食べるだけではダメなんです。EPAやDHAに中性脂肪を下げる効果があっても、運動もせず、高脂肪食品を好きなように食べていれば、中性脂肪が下がるどころか、上がります。そもそも薬で摂取できるほどの量を、食品で取るのは不可能です。

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