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肺がん治療の今(2)「組織型」「遺伝子変異」「免疫チェックポイント」でオーダーメード治療

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月12日 9時26分

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確定診断後の遺伝子検査は必須

 肺がんには、組織型という分類がある。組織型ではまず非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分類され、非小細胞肺がんはさらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類される。どれに該当するかでできる部位や性質が異なる。かつては組織型によって、治療方針が決められていた。

 この5~10年で肺がんの治療成績が向上したのは、治療方針を決めるための情報が「組織型」「遺伝子変異」「免疫チェックポイント」と増えたことが大きい。それらに対応する薬の登場で、患者の肺がんにより合ったオーダーメードの治療ができるようになったのだ。まずは遺伝子変異から説明したい。

 岐阜県にある中部国際医療センター肺がん治療センター長の樋田豊明医師(呼吸器内科部長)が言う。

「最近の研究で、がんに特有の遺伝子変異があることがわかってきました。遺伝子変異によってがん細胞が発生し、増殖する。言い換えれば、元の遺伝子変異に作用する薬を用いれば、がんの発生や増殖を止めることができるのです。そうやって開発されたのが肺がんの分子標的薬です」

 がんの発生・増殖に直接影響を与えている遺伝子(ドライバー遺伝子)は数百種類あるといわれている。ただ、ドライバー遺伝子がわかっても、その遺伝子変異に作用する分子標的薬がなければ手を打てない。肺がんは遺伝子に関する研究が進んでいて、現在、9つのドライバー遺伝子と、それに対応する分子標的薬が登場している。

 ドライバー遺伝子は、EGFR(イージーエフアール)、ALK(アルク)、ROS1(ロスワン)、BRAF(ビーラフ)、NTRK(エヌトラック)、MET(メット)、RET(レット)、KRAS(ケーラス)、HER2(ハーツー)だ。

 組織型について冒頭で触れたが、肺がんで遺伝子変異が見られるのは、肺がんのうち85%を占めるといわれる非小細胞肺がんだ。

「非小細胞肺がんと診断されると、確定診断時に採取した細胞や組織を使用し、9つのドライバー遺伝子の変異の有無を調べます。遺伝子変異が見つかれば、それぞれの遺伝子変異に応じた分子標的薬を使った治療が行われます」(樋田医師)

 ドライバー遺伝子の中でも最も多いのがEGFR遺伝子変異で、40%を占める。複数の分子標的薬がある場合は、エース級のものから使う。

 分子標的薬には耐性化の問題があり、効かなくなると、次の分子標的薬や抗がん剤を用いる。(つづく)

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