周りと違っているからこそやれることも多い…後藤仁美さん軟骨無形性症を語る
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月17日 9時26分
小さい頃からファッションやオシャレが大好きでした。同年代の子たちが着るはやりの服が着られないのは少し残念でしたが、自分にしかできない着こなしを工夫して楽しんできました。
自分の姿勢が人からどう見えるかということもすごく気にしていました。軟骨無形成症では、腰が反ってしまうため、それをかばうように歩くと前かがみになりがちです。また、O脚なので、歩くとき左右に揺れてしまいます。そうならないようにいつも姿勢や歩き方に気をつけて頑張っていました。
■私個人を必要としてくれていることに喜びを感じた
芸能界にも興味はありました。でもやっぱり特殊な身体ですし、芸能人になれるのはキレイでスタイルのいい人だから自分は芸能の仕事はできないだろうなと諦めていました。一方で絵を描くことも好きだったので、当初はデザインやイラストの仕事をしていました。人前に出る仕事をするようになったのは、イラストレーターをやっていた当時、自分の絵の個展にファッションデザイナーさんが来てくださって、そのデザイナーさんのコレクションにモデルとして誘っていただいたことがきっかけです。
その後、俳優として舞台出演の声がかかりました。「キミみたいな子を探していた」と言われたとき、たんに小さいからというだけでなく私個人を必要としてくれていることに喜びを感じました。
今は、演じることが楽しいですし、作品を作り上げていく現場が好きです。そして、作品を通して私のことを知ってもらえたらと思っています。
最近は、SNSなどで私のことを知って、声を掛けてきてくれる人も増えました。物珍しくじろじろ見られるのは嫌なことですが、ポジティブな気持ちで見てくれることは素直にうれしいです。
俳優としては、夢やファンタジーの世界に出てくる役が多いです。ただ、今後できれば日常にいる普通の役をやりたいと思っています。もちろん不思議な役もうれしいですけど、私はファンタジーじゃないし、現実に“いる”ので。会社の同僚とか、学校の同級生とか、そういう景色をみんなが見慣れてくれれば、いろんな人が生きやすくなるような気がしています。
(聞き手=松永詠美子)
▽後藤仁美(ごとう・ひとみ) 千葉県出身。イラストレーターとして活動する中、2015年にモデルとして東京コレクションに出演。17年には俳優として舞台や映像作品に出演するようになる。ドラマーとしての顔も持ち、東京2020パラリンピック閉会式ではドラム演奏を披露した。
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