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認知症の人が打っておきたい「ワクチン」の種類は?【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月24日 9時26分

認知症の人が打っておきたい「ワクチン」の種類は?【介護の不安は解消できる】

重症化しないようワクチン接種を

【介護の不安は解消できる】

 認知症が進行するにつれ在宅介護が難しくなると、施設への入居を検討する家族も多いのではないでしょうか。高齢者施設で問題となりやすいのが、感染症のまん延です。

 認知症の方が多く入居される施設では、認知機能の低下からマスクの着用や手洗いの徹底が難しい上に、食事や入浴、排せつなど介護者と利用者の距離が近くなる機会が多く、感染症が持ち込まれればアッという間に広がります。実際、コロナ禍においては高齢者施設でのクラスターが相次ぎ、本来の介護サービスを維持できなくなる「介護崩壊」に陥った施設も少なくありません。こうした事態に備え、本人または家族の同意のもと、利用者へのワクチンの接種を積極的に行っている施設が増えています。

 高齢になると体力や免疫力が低下していきます。万が一、施設内でインフルエンザやコロナに感染しても重症化しないよう、施設で集団接種の機会があれば、本人に説明した上でワクチンを打ってもらうのがいいと考えます。

 さらに注意したいのが「肺炎」です。厚労省の人口動態統計では、2022年度の死因の第5位は肺炎と報告されています。インフルエンザウイルスに感染すると、気道の表面にある繊毛細胞が破壊され、肺炎球菌などの細菌が肺に侵入しやすくなります。肺炎球菌ワクチン(23価ワクチン)を接種しておくと、肺炎の重症化の割合が70%低下するとの報告もあります。65歳になったら、助成金を利用しながら肺炎球菌ワクチンを打つようにしましょう。抗体は5年間持続されるので、その都度接種するといいでしょう。

 認知機能が低下するとワクチン接種の必要性を理解できず、注射する際に強く抵抗するケースも少なくありません。以前、とある高齢者施設にインフルエンザワクチンを接種しに伺うと、注射に対する不安から多動になり、施設内を行ったり来たりしている認知症の方がいました。成人した大人でも、いざ注射を目の前にすると誰でも怖くなるものです。気持ちを落ち着かせるため、順番を後にして少し時間を置いたら、すんなり受けてくれました。

 在宅で介護している人も同様です。「病院に来たからには絶対に打ってもらいたい」という気持ちは理解できますが、無理やりに打つと本人も嫌な記憶として残りやすい。あまりにも抵抗するようであれば日程を変更し、主治医に協力してもらうのも一つの手です。

▽森川髙司(もりかわ・たかし) 奈良県立医科大学卒業、奈良県立医科大学付属病院で臨床研修医(第2内科)。その後、吉野病院、田北病院内科医長、向山病院副院長などを経て、兵庫県尼崎市に医療法人煌仁会 森川内科クリニックを設立。現在、産業医や校医も務める。

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