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多焦点レンズは保険適用外で値段が高いが「QALY」も極めて高い【一生見える目をつくる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月20日 9時26分

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多焦点レンズはライフスタイルに合わせて選択を

【一生見える目をつくる】#18

 最近の白内障治療で、患者さんからの質問が多いのは多焦点眼内レンズです。2019年に国内で初めて遠・中・近の3焦点レンズが承認されて以降も、さまざまなモデルが登場しています。

 国内未承認のものでは、3焦点に「近中」「遠中」をプラスした5焦点レンズもあり、連続的にはほぼ全ての距離に焦点が合うようになっています。

 私はこれまで多くの多焦点レンズ挿入の白内障治療手術を行ってきました。当クリニックでは手術に使用できる多焦点レンズとして、国内で認可されているレンズ以外にも、世界的に普及しているレンズを海外から取り寄せることができます。

 最近の多焦点レンズの選び方としては「あまり近い所までは見えないが、光のにじみもなく自然に見えるもの」か「光のにじみなどはあるが、しっかり近くまで見えるもの」かの2択の傾向にあると思います。患者さんのライフスタイルによって、どちらがいいかを選んでいただくことが多いです。

 多焦点レンズでの白内障治療を希望される患者さんには、それぞれのレンズの見え方の特徴、メリット・デメリットをしっかりと最初に説明します。最近、患者さんの選択が増えているのが、「あまり近い所までは見えないが、光のにじみもなく自然に見えるもの」タイプに属するEDOF(イードフ)という眼内レンズです。

 これは焦点深度拡張型レンズで、遠方から中間距離まで連続的にきれいに見える。多焦点レンズではありますが、ハロー現象(光の周りにリング状の反射が見える)、グレア現象(光が全体的ににじんで見える)があまり出ない。見え方の質がとても自然で良いレンズとなっているんですね。

 ただしEDOFは30センチ程度の近い距離は見えにくい。そのため、読書や非常に細かい説明書の文字などを見る際には、老眼鏡が必要となることも多いです。パソコンはよく見えますし、そのままでは見えにくいスマホも「文字を大きめに設定すれば裸眼でOK」という患者さんもいます。

 患者さんが頭を悩ませることのひとつとして、費用が挙げられるでしょうか。多焦点レンズは保険適用外で、単焦点レンズと比較して費用がかかります。費用対効果を考える上で、最近ではQALY(クオリー)という言葉が医療経済学の中で使われるようになりました。「Quality-adjusted life year」の略で、日本では質調整生存年と訳されます。クオリティー・オブ・ライフ(QOL)を数値化していろいろな治療の費用対効果を算出し、患者さんの選択肢の参考にしてもらう手法となります。

 私たち眼科医のジャンルでは、眼内レンズを用いた白内障手術のQALYは飛び抜けて高い。多焦点レンズを選択すると、これがさらに高くなる。そんな算出結果が出ています。

(荒井宏幸/クイーンズ・アイ・クリニック院長)

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