過敏性腸症候群でもう悩まない(3)30代男性は周囲に打ち明けられた安堵感から腹痛が減少
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月20日 9時26分
医師に相談し症状に合った治療を
「過敏性腸症候群(IBS)」の治療は、薬物療法や生活改善が基本になる。治療と並行しながら、自分なりの対応策を見つけ、症状とうまく付き合っている人のケースを紹介する。
某大手企業で働く30代の男性は、繁忙期は帰宅時間が午前3時を過ぎ、多忙による精神的ストレスで約2カ月前に下痢型のIBSを発症。重要な会議や商談の直前など、緊張すると腹痛や下痢に襲われやすく、腸の過活動を抑える薬「イリボー(一般名ラモセトロン塩酸塩)」を処方され、毎朝服用していた。
それでも症状が完全に改善されることはなく、取引先との会議に遅れたり、中座する日々が続いた。そこで、悩んだ末に同僚や上司、取引先にIBSと診断された旨を伝えることにした。
周囲に打ち明けられた安堵感からか不安や焦りが軽減し、次第に腹痛を起こす頻度が減少。それでも万が一に備え、腹痛に襲われても焦らないように、取引先や会食場所のトイレの位置を事前に調べて頭に入れておいた。
すると、それが安心材料となって症状が改善され、服薬治療を終了した。
日々、IBS患者の診療を行う「おりたメンタルクリニック」院長の織田宗太郎氏はこう話す。
「お腹の不調はデリケートな話題なので、この男性のように堂々と周囲に打ち明けられるケースは、かなりまれと言えます。とりわけ下痢型の人は、急な便意で仕事に支障を来しやすく、人によっては仕事を辞めたり、自分のタイミングでトイレに駆け込めない接客業などの仕事から、在宅ワークができる別の職種に転職される方が少なくありません」
ほかにも腸管内のガスにより腹部膨張感やオナラの症状を訴える「分類不能型」の場合、「腹鳴の音が周囲に聞こえているのではないか」「すれ違った人が鼻をすすったのは、自分のオナラが臭っているからに違いない」と、他人に迷惑をかけていると思い込み、対人関係が困難になる自己臭妄想に陥るケースも少なくないという。
「分類不能型も下痢型と同様に、特有の症状から抑うつ状態を引き起こし、不登校や退職につながりやすい。実際はご自身が考えるより症状が軽い場合も多いので、ひとりで抱え込まず医師に相談し、症状に合った治療を受けてください」(織田氏) (つづく)
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