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日本人の6割が保有…しつこい口唇ヘルペスは新たな「PIT療法」で撃退できる

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月20日 9時26分

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微妙な違和感を感じたらすぐ服用

 唇の周りに水ぶくれができる「口唇ヘルペス」にかかった経験がある人は少なくないだろう。主な原因となる単純ヘルペスウイルス1型を保有する日本人の割合は約60%といわれている。必ず発症するわけではないが、一度ウイルスが体内に入ると、一生付き合っていかなければいけないうえ、痛みは少ないものの何度でも再発する可能性があるため、非常に厄介だ。

 そんな口唇ヘルペスの新しい治療法が登場した。皮膚科専門医で「身原皮ふ科・形成外科クリニック」(広島市)の身原京美院長に詳しく聞いた。

「近年、口唇ヘルペスの患者さんが増えている実感があります。生活の質が下がる疾患で、なおかつ完治が望めません。いきなり発症して、通常は1週間程度、症状が重い場合は2~3週間は不愉快な思いをするので、困っている人が多いという印象です。その口唇ヘルペスに対する新しい治療法が保険適用になっており、昨年からは1回の内服で済む薬剤も適用になっています」

 従来の一般的な治療は、ヘルペスの症状が出たら病院で診察してもらい、処方される抗ウイルス薬を服用するか、市販されている塗り薬を使用するというものだった。新しい治療法は「PIT(Patient Initiated Therapy)」といい、あらかじめ処方された薬を患者自身の判断で服用できるというものだ。

「抗ウイルス薬というのは、ウイルスを死滅させる薬ではなくて、増殖を抑える薬です。なので、ウイルスが増える前に、いかに早く薬を使うかが、症状を軽くするためには非常に重要になるわけです。ただ、これまでは皮疹が出てからでなければ薬を処方できませんでした。それが今は事前に処方できるようになったので、患者さんが『ああ、来るな』と思ったら、セルフケアが可能になったのです。ヘルペスは症状が出ていない場合、専門医でも判断が難しいんですよ。でも、ヘルペスは何度も発症を繰り返している患者さんが多いので、微妙な違和感のような初期症状に関して、ご自身で把握されている方が多いんです」

■ウイルスが増殖する前に飲むことが大切

 現在、PITでは「アメナメビル(一般名)」と「ファムシクロビル(一般名)」の2種類の薬が処方可能だ。どちらも初期症状が出た時に服用し、ウイルスの増殖を抑える。

 処方には、アメナメビルは初期症状が分かる人、ファムシクロビルはそれに加えて年に3回以上の再発を繰り返している人、という条件が付く。いずれも初期症状を感じてから6時間以内に服用し、アメナメビルは一度だけ服用、ファムシクロビルは初回服用後12時間後に2回目を服用と、飲み方に違いがある。また、1回の薬剤負担費はファムシクロビルが3割負担で数百円程度、アメナメビルは2200円程度となっている。

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