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佐藤弘道さんは下半身麻痺で活動停止…「脊髄梗塞」はどんな病気?

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月21日 9時26分

佐藤弘道さんは下半身麻痺で活動停止…「脊髄梗塞」はどんな病気?

佐藤弘道さん(C)日刊ゲンダイ

 今月13日、“ひろみちお兄さん”の愛称で知られるタレントの佐藤弘道さん(55)が、「脊髄梗塞」によって下半身麻痺となり、活動を休止することが発表された。一体どういう病気なのか? 循環器専門医で東邦大学名誉教授の東丸貴信氏に解説してもらった。

  ◇  ◇  ◇

「梗塞とは、血管が血栓で詰まることにより臓器に血液が行き渡らなくなることを指します。脳血管や頚動脈が詰まれば脳梗塞、冠動脈だと心筋梗塞になりますが、何らかの原因で脊髄の動脈が詰まると、『脊髄梗塞』を起こすのです。脳梗塞や心筋梗塞同様に、ある日突然発症します」

 発症直後に起こる主な症状は、突然の背中の痛み、両足の脱力感や麻痺、感覚障害が一般的だ。

 温かさや冷感、痛みといった温痛感覚が鈍くなりやすい一方で、触覚や振動覚、自分の足がどこにあるか認識する位置覚は比較的障害されにくいという。

 ほかにも排尿や排便を自己コントロールできなくなる膀胱直腸障害を引き起こすケースも少なくない。

■椎間板ヘルニアがある人は注意

「脊髄梗塞を起こす原因に動脈硬化が挙げられますが、通常、生活習慣病による動脈硬化は、大動脈、末梢動脈、冠動脈に比べて、非常に細い脊髄動脈は起こりにくいといえます。動脈硬化を来していない血管で血栓ができる確率は非常に少ないため、脊髄梗塞には大動脈解離による虚血、ベーチェット病など血管を狭くさせる血管炎、同じく血管を狭くする外部刺激が関係していると考えられます。とりわけ椎間板ヘルニアがあると、激しい運動など何らかの衝撃が加わった際に椎間板が脊髄動脈を圧迫して一時的に血管を狭めるリスクが高いといえるでしょう」

 ほかにも脱水は、血液をドロドロにさせて血液を固まりやすくさせるため、発症の一因になると考えられている。

 診断にはMRI検査が用いられる。ただ、脊髄梗塞の発症頻度は脳卒中の100分の1程度と非常にまれで、医師の間でも症例を目の当たりにする機会が少ない病気だという。そのため下肢の脱力や違和感で病院を受診しても、脊髄梗塞は候補に挙がりにくい。発症から診断に至るまで時間がかかり、手遅れになるリスクが高いという。

「背中や下半身の大きな異常で神経内科や整形外科を受診しても、脳のMRIや腰のX線写真の検査だけでは、正確な診断はされにくいのです。脊髄梗塞を疑い、腰のMRIを撮ってもらう必要があります。脊髄梗塞に対する治療法も確立されていないため、炎症を抑えるステロイドやリハビリといった対症療法しかできない。ただ、梗塞の部位や血栓のサイズが小さい場合には、発症から2~3日で症状が改善する場合もあるので、自分で脊髄梗塞かもしれないと疑いを持つことが予後を良くする最大のポイントです」

 しかし、麻痺が重度でその状態が長期間持続した場合、神経が機能不全を起こして身体回復が難しく下半身麻痺が残りやすい。脊髄梗塞の発症リスクを少しでも減らせるよう、健診などで生活習慣病やその疑いが指摘されたら、放置せずに動脈硬化症を調べるための血管の精密検査を受けるべきだ。

「ただ高齢者に発症しやすい脳梗塞や心筋梗塞と異なり、脊髄梗塞の平均発症年齢は50~60代の中高年層でも見られることから、動脈硬化以外の原因も考えられます。脊髄の血管を圧迫させないためにも、運動する際は無理に体を動かして腰に過度な負担がかからないように心掛け、血栓の原因となる脱水にはくれぐれも注意を払ってください」

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