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耳掃除には要注意! 耳の中がカビだらけになる「外耳道真菌症」の危険あり

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月22日 9時26分

耳掃除には要注意! 耳の中がカビだらけになる「外耳道真菌症」の危険あり

痛みがあれば要注意!

 耳掃除が日々の習慣になっている人は少なくない。ただ、こすりすぎて耳の中が傷つくと、カビが繁殖して思わぬトラブルにつながるリスクがある。自治医科大学付属さいたま医療センター耳鼻咽喉・頭頚部外科教授の吉田尚弘氏に聞いた。

  ◇  ◇  ◇

「外耳道真菌症」という耳の病気がある。「外耳道」と呼ばれる耳の入り口から鼓膜を結ぶトンネル内に、空気中に存在するカビ(真菌)が繁殖することで発症する。

「皮膚は体の部位によって厚さが異なり、中でも『外耳道』は厚さが0.1~0.2ミリと非常に薄い。綿棒や耳かきで過度にこすると傷がつき、皮膚のバリアー機能が低下してジクジクとした滲出液が出ます。さらに外耳道の奥には鼓膜があり、行き止まりになっているので、換気が非常に悪い。カビにとって好条件となる高温多湿な環境がつくられることで、空気中のカビがすみ着いて繁殖していくのです」

 耳の強いかゆみや痛みの症状が現れ、耳の中を診察すると白いカビの菌糸や黒い胞子が綿花のように付着しているのが見えるという。さらに、耳がかゆいからといって綿棒で繰り返しこすると、胞子はさらに耳の奥へと押し込まれて鼓膜の表面を塞ぎ、耳閉感や聞こえの悪さを引き起こす。

 繁殖する真菌の種類は、カンジダとアスペルギルスが代表的だ。

「外耳道真菌症のほとんどは、皮膚の表面だけに真菌が付着してかゆみが生じる『表在型』と診断されます。しかし、アスペルギルスに感染した場合は、鼓膜が破れたり、真菌が皮下組織に入り込んで耳の骨が溶ける『浸潤型』になりやすく、外耳道真菌症と診断される方の約1割は浸潤型とされています。痛みがあれば注意が必要です」

■鼓膜が破れ骨が溶けるケースも

 ある70代の女性は、2~3カ月前から続く耳のかゆみと聞こえにくさに悩まされ、近所の耳鼻科を受診した。診察で鼓膜に穴が開いていると診断され、細菌培養検査を行うと細菌が見つかり、抗生物質による治療を開始。しかし、時間がたつにつれて鼓膜の穴はさらに広がってきた。紹介された大病院で細菌培養検査と併せて真菌培養検査を受けるとアスペルギルスが検出され、鼓膜の破れのほかに耳の骨が溶けていることが判明した。

 外耳道真菌症は、放置しても命に関わる病気ではないが、自然治癒する可能性は極めて低い。

「表在型であれば、抗真菌薬の外用薬で治療を行います。ただ耳の中は自分では見えないうえに、綿棒で薬を塗ろうとして奥まで差し込むと外耳道や鼓膜が傷つく恐れがあるので、定期的に通院して病院で塗布してもらう必要があります。浸潤型の場合には、抗真菌薬であるイトラコナゾール、ボリコナゾールなどの内服や、場合によっては点滴で治療します。ただワルファリンなどの抗血栓薬やいくつかの心臓、高脂血症、糖尿病、精神、神経疾患などの薬を飲んでいると抗真菌薬を使えなかったり、注意して使う必要があるので、服用中の薬がある方は医師や薬剤師に必ず伝えてください。両者ともに、早ければ1~2週間ほどで症状の改善が実感できます」

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