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古村比呂さんは抗がん剤22回…長期の静脈注射ではCVポートの検討も【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月22日 9時26分

古村比呂さんは抗がん剤22回…長期の静脈注射ではCVポートの検討も【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

針を刺す痛みがなくなる(C)日刊ゲンダイ

【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

 抗がん剤について、読者の皆さんはどう思われているでしょうか。「副作用がつらい」「最後の手段」といったイメージを持っている方は少なくないでしょう。

 そのイメージを覆しているのが、ステージ4の子宮頚がんで闘病中の女優・古村比呂さん(58)です。

 13日に更新したブログによると、抗がん剤治療は22回目。これだけ長く治療を続けていられるのは、副作用の管理がきちんとできているのだと思います。

 その22回目は無事投与が終了したそうですが、気になる表現もありました。薬剤を静脈から投与する際、針を刺す看護師に「血管が硬くなってますね」と指摘された点です。

 針を刺した部位が赤くなる、痛む、腫れるといった症状は、さまざまなワクチン接種や採血などでも経験したことがあるでしょう。治療や検査などで針を繰り返し刺していると、その部位が突っ張ったり、硬くなったりします。これを避けるには、できるだけ太い静脈を使用したり、刺す部位を変えたりすることが大切です。

 さらに注入する薬剤の影響もあります。どんな薬剤であれ、皮膚や血管などの細胞には炎症が発生。特に抗がん剤はじめ、がんに使われる薬は強いため、薬剤が漏れて皮膚に付着すると、水ぶくれや潰瘍ができたり、薬剤が通る静脈内では静脈炎になったりする恐れもあるのです。

 こうした厄介なトラブルを回避するため、CVポートが利用されることが増えています。これは皮膚の下に埋め込んで薬剤を注入するための医療器具です。装置は、本体とカテーテルからなり、カテーテルの先端を目的の中心静脈に刺し入れ、カテーテルとともに本体を皮下に埋め込みます。本体が設置されるのは胸か上腕で、本体に専用の針で薬剤を投与する方法です。

 埋め込みに軽い手術が必要ですが、設置後は1回で確実に薬剤を注入できます。通常の静脈注射のように何度も針を刺すことはなく、薬剤が漏れることもありません。静脈注射だと、腕の動きが制限されますが、CVポートなら投与中に腕を動かして本を読んだりできます。カテーテルの先端は太い静脈につながっているため、静脈炎のリスクを小さくできるのもメリットです。

 装置を埋め込む手術が必要なほか、その手術時の感染などのリスクもゼロではありませんが、抗がん剤をはじめ長期に静脈注射を伴う治療が想定される場合は、CVポートの設置は検討してよいと思います。

(中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授)

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