夫婦殺害事件で元エリート子役が逮捕されたが…元子役なくして連ドラは成り立たない(桧山珠美)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月12日 9時26分
杉田かおる(C)日刊ゲンダイ
【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
江口のりこ主演「ソロ活女子のススメ4」(テレビ東京系)を見ていたら上野の角打ちの店主役で杉田かおる(59)が出てきた。一時期、猛女キャラでバラエティーなどに出まくっていたが、その後は農業に力を入れ、九州に移住するなどで見かけることも少なくなった。そんな杉田、猛女とはほど遠いおだやかな顔つきになり、あまりにも役に馴染んでいたので、一瞬誰だかわからなかったほど。さすが子役からキャリアを積んできた俳優は違うと感心したら……。その1週間後のこと、栃木県の山林で夫婦の遺体が発見された事件で、実行犯として逮捕された若山耀人容疑者(20)が元子役であることがわかった。
■「燃え尽き症候群」になりやすい?
第一報を聞いた時は、よくある自称俳優とやらか、と思ったが、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で主人公の幼少期を演じていたエリート子役とわかり仰天!
2018年までドラマや映画に出演し、21年までは出身地・美濃加茂市の観光大使を務めていたそうだ。わずか3年での転落。まだ20歳。いったい彼に何があったのか。
同じ元子役の事件として、「子連れ狼」の大五郎・西川和孝(56)の事件を持ち出すメディアもあり、「子どもの頃からちやほやされ、燃え尽き症候群になりやすいのでは」という解説もあった。かれこれ20年以上も前の事件だが、可愛かった大五郎が強盗殺人・死体遺棄の犯人だとわかった時の世間の震撼ぶりは若山の比ではなかった。
西川と若山は元子役だが、だからといって元子役はロクなもんじゃないというのは違う。杉田も7歳で「パパと呼ばないで」のチー坊役に選ばれ、一躍、国民的人気者になった。そこから「金八先生」では15歳の母になり、「池中玄太80キロ」では劇中歌「鳥の詩」を歌ってヒットさせた。そこから猛女時期を経て今日に至る。
坂上忍もしかり。天才子役ともてはやされ、いろいろあってバラエティーでは「ブス嫌い」「潔癖症キャラ」でブレーク、「バイキング」でフジテレビのお昼の顔となった。そして現在は動物保護の活動を続け、「坂上どうぶつ王国」などで発信。彼もまた好きなことをしているからか、いい顔つきになった。
人気番組の主演級を席巻
そして、この春。テレビを見渡せば元子役の活躍は目覚ましいものがある。とくに朝ドラ「虎に翼」の伊藤沙莉を筆頭に「アンメット ある脳外科医の日記」の杉咲花と若葉竜也、「95」の中川大志、「滅相も無い」の染谷将太、「季節のない街」の池松壮亮と仲野太賀、「街並み照らすヤツら」の森本慎太郎、「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱」の高橋一生ら元子役たちが主演を張り、達者な演技で視聴者を魅了している。子役がみんな「燃え尽き症候群」になるわけではない。人生いろいろ、子役もいろいろ。
これだけは言える。今のテレビドラマは元子役なくして成り立たないだろう。
(桧山珠美/コラムニスト)
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