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鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃(重道武司)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月16日 9時26分

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鹿児島市の山形屋本店(C)共同通信社

【経済ニュースの核心】

 先週末、域内経済社会を震撼させる「2つの衝撃」が南九州の地を駆け巡った。鹿児島市に本社を置く老舗百貨店「山形屋」の実質経営破綻の表面化と、ゲーム大手のセガサミーホールディングス(HD)による宮崎市の大型リゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」の“転売”だ。

 山形屋はすでに事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請。主力行の鹿児島銀行の主導でDES(債務の株式化)など有利子負債の圧縮と資本基盤の立て直しを図って経営再建を目指す。一方、セガサミーHDは傘下のシーガイア運営会社の全株を5月末、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却する(その後新たに種類株を引き受け2割出資残す)。

 とはいえ山形屋は2018年2月期以降、最終赤字が続き、昨年2月末には債務超過に転落した。シーガイアも1993年の開業以来、業績は底ばい状態。2001年の会社更生法適用申請後、「身売り」を重ねるなど流転の道をたどってきた。新たな売却先がファンドでは「更なる彷徨が続くのはほぼ確実」(メガバンク筋)で、いずれも再建の行方は「限りなく不透明」(同)と言わざるを得ない。

 地元財界関係者らが、なかでも気を揉むのが山形屋だ。何しろ創業1751(宝暦元)年で、地方百貨店のパイオニア的存在。南九州最大の繁華街「天文館地区」に居を構え、宮崎市にも展開する。本店と「宮崎山形屋」は鹿児島・宮崎両県でともに唯一の百貨店(日本百貨店協会加盟社ベース)だ。再建の過程で仮に「店舗閉鎖」などということになれば、山形県や島根県などとともに両県とも一気に「百貨店ゼロ県」へと落剥してしまう。

「みじめ。それだけは勘弁して欲しい」。鹿児島県民からも悲鳴が上がる。

 山形屋再建の成否はひとまず、取引金融機関17社を集めて今月28日に開かれる債権者会議にかかる。ここで債務整理のほか①持ち株会社体制への移行を含むグループ再編②鹿児島銀と企業再生ファンドからの役員受け入れ――などを盛り込んだ、現在策定中の事業再生計画案が全社一致で承認されるか否かだ。

 仮に1社でも反対すればADRは不成立となり、法的整理に移行する可能性が高まる。地域経済への負影響も避けられない。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

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