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旧五菱会残党が頼った“ヤミ金帝王”の画期的システムと、違法利息6億円ガッポリの巧妙手口

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月23日 10時28分

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押収されたスマホやキャッシュカード(C)共同通信社

「羽振りのいい生活に戻りたかった」「五菱会で味わった金貸しが忘れられず、再開した」

 指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融グループの元従業員は、再び「ヤミ金」に手を染めたきっかけについて、こう供述している。無登録、高金利で金を貸し付ける貸金業を営んだとして、警視庁生活経済課は22日までに、貸金業法違反(無登録営業)などの疑いで東京都大田区の無職、針谷恭輔容疑者(44)ら男女4人を逮捕した。

 五菱会は2000年代前半、全国に1000店舗以上を展開し、生活困窮者に高金利で金を貸し付け、1000億円超を荒稼ぎした。五菱会を率い、「ヤミ金の帝王」と呼ばれた男は名簿業者から入手した多重債務者リストをコンピューターで管理。DMで無担保融資を持ちかける新たな「ヤミ金システム」を構築し、莫大な利益を上げた。しかし、ヤクザまがいの厳しい取り立てが社会問題化。03年、ヤミ金の帝王が逮捕され、同会は消滅した。

 針谷容疑者はかつて五菱会のヤミ金グループのメンバーとして、顧客管理や貸し付け、取り立てを担当。18年に再び自身でヤミ金業を設立した。再開にあたって頼ったのが、五菱会が多重債務者の個人情報を管理していた「センター」と呼ばれる組織だった。センターは客の返済期限が来ると、別の店舗に融資勧誘するよう指示。新たな融資を実行し、客の借金が膨らんでいく仕組みだ。

■徹底した個人情報管理

 針谷容疑者は残党たちが運営するセンターから顧客名簿の提供を受け、ターゲットを絞り込んでいた。

 手口はこうだ。

「多重債務者や生活困窮者と連絡を取り、自宅や勤務先、家族の仕事など個人情報を把握。摘発を逃れるため、貸金業ではなく商品の売買を装い、客の口座に入金していた。返済の際には他人名義の口座を指定して返金させ、さらに別の口座に移し、出し子が現金を引き出していた。現金はロッカーに預けられ、運び役がまた別のロッカーに移動させるなどして発覚を免れていた。多重債務者を誘って出し子や運び役をやらせるなど、役割分担があった。顧客が返済を滞納した場合、本人の勤務先や家族に電話やメールを送り続け、嫌がらせをするなどして執拗に返済を迫っていた」(捜査事情通)

 針谷容疑者は、クレジットカードを作れない多重債務者らに繰り返し金を貸し付け、1件あたり法定利息の3~17倍の利息を受け取っていた。その一方で顧客の資産、家族構成、親族、友人関係を調べ上げ、個人情報を徹底管理し、借り逃げを防いでいた。その結果、今年2月までに延べ約1万5000件、約5億円を貸し付け、約6億円の利息を違法に得ていた。

 こうしてヤミ金の帝王が開発した「顧客管理システム」は、20年以上にわたって闇社会で受け継がれてきた。今では犯罪グループの間で「闇リスト」「カモリスト」が使い回され、ヤミ金だけでなく特殊詐欺など、さまざまな犯罪に使われている。

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