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好決算の生保に「国際会計基準の見直し」を映した明暗…保険料収入減でも増益のなぜ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月1日 9時26分

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最大手の日本生命は「基礎利益」6割増(同社の清水博社長)/(C)共同通信社

【政官財スキャニング】#77

官界通(以下=官) 前回は上場企業の決算が好調だったことを取り上げたが、上場していない会社も多い生命保険会社も大幅な増益だったな。

財界通(同=財) そうだ。業界最大手の日本生命も株式会社ではなく相互会社という形だが、決算内容は公表している。それによると、今年3月期の本業での儲けを示す「基礎利益」は前期より60%余り増えた。

政界通(同=政) すごいな。

財 業界2番手の第一生命は40%以上増えたし、3番手の明治安田生命も約40%増だ。

官 でも、生命保険の契約で得た保険料収入には、明暗がみえた。日生は前期比で約35%増だが、第一は約13%増、明治安田は約9%減だった。

政 えっ、保険料収入が減っても増益になるのか?

■保有株式を売却

財 一つは、コロナ禍が収まって入院給付金などの支払いが減り、利益を押し上げた。もう一つが重要だ。各社は、利益が出ている保有株式をけっこう売ったようだ。

政 利益を膨らませるために、お宝の「含み益」をはき出したのか?

官 いや、利益を膨らませるためではなく、株式を持ち過ぎているからではないか。

財 さすが、霞が関の官僚に接していると、情報が早いな。実は保険会社の国際会計基準が見直され、運用している総資産に占める株式の比率の上限が下げられる。株式への運用が多い生保はかなり売る必要があり、徐々に売っている。

政 どの銘柄をどれだけ売ったかは、分かるのか?

財 それは発表されないが、生保は多くの会社の大株主になっているから、大株主の変動をみればある程度はつかめる。そのうちにアナリストが分析してくれるだろう。

官 比率は、株式を減らさなくても、総資産のほうを大きくすれば下がる。総資産を増やす王道は、保険料収入を増やすこと。それには保険を売るしかない。

政 そうか、資産運用の時代で、節税型保険や利回りのいい保険は売れる。保険料収入が増えない生保は、いい商品がないか販売力が足りないのか。明暗がみえるというのは、そういう意味か。

(構成=竜孝裕/ジャーナリスト)

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