日本ハム快進撃の原動力は新庄監督以上にフロント! 育成中心のドラフト戦略ようやく結実
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月4日 17時10分
新庄監督(C)共同通信社
7月23、24日に行われる今年の球宴。3日に発表されたファン投票第10回中間発表で、実に9部門のトップに立ったのが日本ハムだ。
過去2年、チームはいずれも最下位で貯金すらつくれなかったが、今季は開幕から好調で3日現在、首位・ソフトバンクから5ゲーム差の3位。貯金は8つある。快進撃を演出する新庄剛志監督(52)のハンドリング能力は【前編】の通りだが……。【前編】からつづく。
◇ ◇ ◇
「それより何より、大きいのはフロントの存在ですよ」と日本ハムOBがこう続ける。
「昨年の現役ドラフトでは過去5年、一軍経験ゼロの水谷を指名した。水谷は島根の石見智翠館高から18年のドラフト5位でソフトバンクに指名された選手ですが、日本ハムも当時から高く評価していた。ただ、あの年は吉田輝星(23=現オリックス)を1位指名したのをはじめ、2位で野村、4位で万波、6位で田宮と高校生を中心に取ったうえ、水谷は万波と似たタイプだっただけに指名することができなかった。水谷はソフトバンクで出番はありませんでしたけど、ずっと獲得を狙っていた選手だったのです」
以前のように高校生の育成に力を入れ始めたことも大きい。
「20年のドラフトくらいからでしょうか。プロ初勝利を挙げた福島のほかにも、5月26日の楽天戦に先発した柳川(20)は21年の育成3位。同年ドラフト7位指名の松浦(20)や、20年育成1位の松本(22)もデビュー間近です。高校時代に速い球を投げていたわけではないが、フォームが良くて、2、3年かけて体力や筋力をつければ化けそうな選手、いわば他球団があまり注目しないような選手をドラフト下位や育成で獲得するようになった。長期的視野に立ったチーム作りが奏功し始めたのです」(同)
日本ハムはそもそもドラフトと育成が看板。06~16年の11年間でリーグ優勝5回、そのうち2回日本一になった。当時はドラフトで獲得した高校生を促成栽培、場合によってはポジションをこじ開けて一軍で起用した。そうやってチームを活性化させることが、コンスタントな結果につながった。
当時と比べて獲得する高校生の質も、育てるスパンの長さも変わったものの、長期間にわたってチーム力を維持しようというスタンス自体は変わらない。
そんなフロントの姿勢が、ようやく実を結びつつあるのだ。
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