「警察密着24時!!」不適切内容で即打ち切り、社長減給…テレ東の厳重&迅速対応は大正解だった
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月5日 11時3分
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迅速な対応だった(C)日刊ゲンダイ
迅速かつ厳しい処分対応だった。テレビ東京が昨年3月に放送した「激録・警察密着24時‼」で、不適切な内容があったと公式サイトで5月28日に公表。3日に番組担当者と監督責任者に減給などの処分を発表したが、さらに同社の石川一郎代表取締役社長は2カ月間役員報酬30%返上、加藤正敏常務取締役は2カ月間役員報酬10%返上、当時の制作局長は減給、番組プロデューサーは出勤停止5日などの処分を発表した。
また30日の定例会見で石川社長は、視聴者と関係者に迷惑と誤解を与え名誉を傷つけたことをわび、番組を打ち切る方針を明らかにした。
公式サイトによれば、「不適切な内容」の具体的な中身はこうだ。人気アニメ「鬼滅の刃」の商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、「4人が逮捕された」と放送していたが、うち3人が不起訴になっていたことに言及しなかった。また登場した会社が「鬼滅の刃」が描かれた商品を中国へ発注していたと放送したが、事実確認をしておらず、放送後、会社から「そのような事実はない」と指摘を受けた。さらに警察署内での捜査員同士の会議の様子を捜査の最中に行われたように放送したが、実際は事後に撮影した再現だった。また「“ニセ鬼滅”組織を一網打尽」などのテロップは行きすぎた演出だった。
キー局関係者はこう話す。
「警察のPRの役割を担う警察密着番組は、安く作れて視聴率も稼げるので各局とも重宝していますが、大きな事件にそうそう密着できるわけでもなく、通常、地味な事件ばかりになってしまう。それで大げさなテロップやナレーションなどの演出をやりがちなんです」
■ことの重大さを重々理解した上での厳しい対応
元テレビ朝日プロデューサー鎮目博道氏も「今回の件についてテレビ東京はかなり深刻に受け止めているのだなと感じますし、コンプライアンス面で他局よりも厳正に対応する姿勢がはっきり見てとれます」とコメントしていたが、日本リスクマネジメント協会顧問で、企業のリスク管理に詳しい危機管理コンサルタントの白井邦芳氏はこう話す。
「起きてしまったことへの危機管理対応は評価できると思います。具体的に丁寧に説明した上で、社長自らが長年続いていた番組の打ち切りも表明した。確かに誠実で真摯な対応で、沈静化は早いと思います。しかし、それでスルーしてしまった感じになっていますが、起きたこと自体は看過できない重篤な事態です」
どういうことか。
「警察という国家の重要なポジションを扱うにあたり、事実確認をしっかりしなかったことは非常に問題です。不起訴になっていたことは調べればすぐわかったはず。再現シーンについても、本来であれば“イメージ映像”などとしっかり明記しておくべきだった。最近はテレビの世界でも、ステルスマーケティング的な手法などが“不正競争防止法違反ではないか”などと指摘を受けることもあります。コマーシャルの世界でも、視聴者には誤解を与えないように丁寧にやっているんです。社会の公器であるテレビが、ドキュメンタリーの形をとって放送することで、視聴者はそうした検証を経たものと思って見ています。誤解や誤認を誘発した今回の事案はとても看過できず、事態は深刻だと言えます」
つまりテレ東はことの重大さを重々理解した上での厳しい対応に踏み切ったというわけだ。「セクシー田中さん」問題で批判を浴びている日本テレビとは対照的である。
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