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「早期・希望退職」募集が続出する2つの理由…3年ぶり1万人超えへ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月11日 9時26分

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人手不足といわれるが…(C)日刊ゲンダイ

「早期・希望退職」を募集する企業が続出している。コロナ禍による業績悪化で人員削減する企業が急増した2020年(1万8635人、93社)、21年(1万5892人、84社)以来、3年ぶりの1万人超えが確実な状況だ。

 東京商工リサーチの5月16日までの調査によると、上場企業で27社、4474人が対象となり、すでに昨年1年間(3161人)の実績を超えている。同社の友田信男情報本部長が、今年の特徴は2つある、とこう述べる。

「全体の62.9%(17社)が黒字企業です。円安で業績の良い企業が、不採算部門の縮小や閉鎖で今後伸びる事業に人を投入する構造改革を進めています。また、これまでのような45歳、50歳以降といった対象年齢に制限を設けない企業が増えてきています」

 さらに30年ぶりの賃上げの影響が、企業の構造改革を進める背景になっていると次のように言う。

「今後も賃上げが続くと考えると事業部門の採算、将来性からみて人件費の負担増は避けられません。そのため企業は賃上げの一方、人件費の抑制による合理化がさらに進むことになる」

 産業別では電気機器、情報・通信業が多く、大手企業の募集人数を見ると、コニカミノルタ国内外2400人、オムロン(同)2000人、資生堂国内1500人、ソニーグループ国内外900人、カシオ計算機(同)500人、ワコールHD国内215人などが明らかになっている。また、東芝は非上場になったため集計に入っていないが、国内で最大4000人の削減を予定している。

 早期退職募集で懸念されるのが、退職後の再就職の場だ。全国的に企業の人手不足が継続するなか、東芝社員でも退職後の再就職は厳しいと、産経新聞客員論説委員でジャーナリストの井伊重之氏が言う。

「東芝はこれまでパソコン、医療機器、白物家電、半導体メモリー事業など部署や子会社を切り売りしリストラを繰り返してきました。今回の早期退職募集は、本社部門に残る給与の高いホワイトカラーの管理職が対象です。DX(デジタルトランスフォーメーション)の関連事業の担当者は研究所や中小企業に再就職できても、40歳以上の人はほとんどDXの経験がなく、受け入れ先を見つけるのは厳しいでしょう」

 企業の早期退職募集は、株主総会が終わる6月以降に増える傾向があり、今後退職者は1万人を大きく超えることが考えられる。先の友田氏が指摘する。

「人手不足なので職種と賃金を選ばなければ見つかるでしょうが、退職前の賃金や待遇を期待するにはよほどの能力や資格を持っていなければ再就職は難しい」

 変化への対応にサラリーマンはこれまで以上に自己防衛が必要になる。

(ジャーナリスト・木野活明)

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