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南アW杯に行きたくて「ボールを全部よこせ」と内田篤人に言った…当時のチーム内に溢れ出ていたギラギラ感【松井大輔が激白】#6

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月20日 9時0分

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2010年南アW杯の練習中にFW大久保とじゃれ合う松井(右)/(C)日刊ゲンダイ

【流浪のファンタジスタ 松井大輔が激白】#6

 中田英寿、闘莉王、本田圭佑ら歴代の日本代表には、自分流のスタイルを貫く選手がいた。希代のテクニシャンである松井大輔も、時にエゴイストになるところがあった。「チームの戦い方の大枠は監督が決めますけど、サッカーは選手ありき。その中ですり合わせていくべき。自分の意見を主張することも大事だと僕は思います」と語る男のフットボーラーとしての矜持とは──。

  ◇  ◇  ◇

 松井が「我を通すタイプ」と痛感させられたのが、2009年6月の豪州戦だった。直前のウズベキスタン戦で日本は10年南アフリカW杯出場権を獲得したため、この試合は消化試合となった。

 中村俊輔(横浜FCコーチ)、遠藤保仁(G大阪コーチ)といった主力は遠征帯同を免除。ベンチ外だった松井に先発の機会が巡ってきたのだ。

「南アにどうしても行きたかった僕にとっては大きなチャンス。ボールを持ったら自分でドリブルを仕掛けてアピールしたかった。そこで後ろ(の右SB)にいたウッチー(内田篤人=JFAロールモデルコーチ)に『上がってくるな!』『ボールを全部俺によこせ!』と言いましたね。(長友)佑都(FC東京)と左サイドでタテ関係になった時も、同じようなことがあったかな。とにかく自分の突破力でチームを勝たせたかった」

 今の若い世代は「フォア・ザ・チーム精神」や「献身性」に秀でている選手は多いが、エゴを押し出すタイプは少ない。

 松井がいた時代の代表には、チーム内にギラギラ感があふれ出ていた。

「ジーコジャパン時代にヒデさん(中田)とフクさん(福西崇史=解説者)が立ち位置を巡って考えが食い違い、ツネさん(宮本恒靖=JFA会長)たちも加わって話し合いになることがありましたけど、選手同士の意見が一致しないのはむしろ当たり前。みんなそれぞれ育った環境もやってきたサッカーも違う。攻撃的に行きたい選手と守備的に戦いたい選手がチーム内にいて当然なんです。『最終的に勝ちたい』という思いは一緒。そのためにまとまるし、必死になって意見をすり合わせるんです。当時の僕のエゴをウッチーたちがどう受け止めたか分からないけど、何とか個性を生かそうとしてくれたはず。主張し合うことは大切だと僕は思います」

 2月に引退発表後、横浜FCのスクールと浦和のユースで10代の子供たちを教えている。

「今の子供たちには『自分で考えて』と口癖のように言っています。僕の子供も中1と小4になりますけど、なかなかそれができないですね。自分の10代の頃を考えてみると、指導者のいない状況で公園サッカーで技を磨くのが日常で、中3の時にはパリ・サンジェルマンに単身留学していますからね。行動力を身に付けてもらえるように、僕なりに工夫していきます」

 良い意味でのエゴイストが増えなければ、日本サッカーも日本社会も活性化されない。松井には伝えるべきことがたくさんある。(つづく)

(取材・構成=元川悦子/サッカージャーナリスト)

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