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小松政夫さん「僕のギャグにはモデルがいるんですよ。先生や先輩や同僚が実際に言っていたことを誇張してるから」(本多正識)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月15日 9時26分

小松政夫さん「僕のギャグにはモデルがいるんですよ。先生や先輩や同僚が実際に言っていたことを誇張してるから」(本多正識)

小松政夫さん(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#196

 小松政夫さんの巻

  ◇  ◇  ◇

 半世紀以上前は「ドギツさの関西」「小洒落た(小粋な)関東」という感が強かったでしょうか。そんな中、関東発でありながら「電線マン」や「しらけ鳥」はもちろん、数多い“バカバカしいギャグ”を一生懸命にやってらっしゃる小松さんが大好きでした。

 本番前の打ち合わせで「大ファンです」と握手をしていただき、小松さんのギャグは普段使っている言葉が多いので、わかりやすくて好きだったことをお伝えすると「なぜかっていうと僕のギャグにはモデルがいるんですよ。先生や先輩や同僚が実際に言ってたことを誇張してるから」「いつも親父さん(植木等さん)についていて、シャボン玉ホリデーなんかのリハーサル中に、現場が止まると『松崎(小松さんの本名)なんかないか?』って聞かれるから、上司の口癖だった“知らなぃ知らなぃ知らなぃ”とかを大げさにやると『それいけるじゃないか! おまえ(本番で)やれ!』って言われて、急にテレビに出たのよ。それで“みんなどんなことを言ってたかな~”って必死で思い出してましたよ。観察力って大事なんだよね」。どんどん教えてくださるので「続きは本番で」「そうだね(笑)」と初めてお会いしたとは思えないほど冗舌にお話ししていただきました。

 役者志望で上京し、自動車のトップセールスマンとして大卒の10倍以上の給料をもらっていた小松さんは「付き人兼運転手募集、頑張れば面倒みるよ~~~!」という求人広告に応募。600人を超える応募者の中から植木等さんの付き人に。

 トップセールスマンだったので礼儀、言葉遣いで注意をされたことは一度もなく「ウチの松崎です。どんなことでも何かありましたらよろしくお願いします」と植木さんは頭を下げてくださったそう。

 さらに「松崎、代わりなんていくらでもいるんだからどんな小さな仕事でも手を抜かない、一生懸命にやる。これも忘れるなよ」と教えられたそうです。

 付き人になって3年10カ月目、運転をしていると、植木さんが後部座席から耳元で「松崎、明日から来なくていいからな」と突然の“クビ宣告”。小松さんは頭が真っ白。すると「さっき(事務所の)社長に給料とマネジャーを決めてもらったからな、頑張れよ!」と言われて、タレントとして独立が決まったそうです。植木さんの計らいに涙があふれて前が見えないので「ちょっと止めさせてください!」と車を止めて「ありがとうございます」としばらく号泣されたそうです。

 4年弱で独り立ちできたのは、植木さんの唐突なフリに対して答えを返せた「瞬発力」と、いつ来るかわからないフリに備える「集中力」と「準備力」、そして周りの人の小さな口ぐせを見つける「観察力」とそれを頭の中にストックする「記憶力」、さらにネタを誇張してギャグにする「表現力」があったからだと思います。

 お話を伺ってみて、小松さんは売れるのに必要な要素をいくつも兼ね備えておられました。礼儀正しさを忘れないことをはじめ、バカバカしいことほど一生懸命にやる、どんな仕事も手を抜かない。小松さんから伺った話を今も養成所の生徒たちに伝えています。

(本多正識/漫才作家)

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