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エネオスHD新社長はナルシスト?初の東燃ゼネラル出身“下剋上”トップ人事に日石組からは不満が(小林佳樹)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月15日 9時26分

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東燃と日石の下剋上のトップ人事(ENEOSホールディングスの宮田知秀社長) (C)日刊工業新聞/共同通信イメージズ

【経済ニュースの核心】

 4月1日にENEOSホールディングス(エネオスHD)社長に就任した宮田知秀氏のインタビュー(日本経済新聞、5月31日朝刊)が話題を集めている。宮田氏は相次いだ経営幹部によるセクハラ事件を受けた再発防止策として、部下によるフィードバックを人事考課に含める評価制度を導入し、部長や役員ら個人の裁量を縮小することを明らかにしたのだ。この改革に、「宮田氏による管理職への締め付けが本格的に動き出した」(関係者)と、戦々恐々となっている。

 エネオスHDでは、2022年8月に当時の杉森務会長が沖縄の飲食店で女性従業員に性加害を加える事件を受けて辞任。その激震が冷めやらぬ23年12月に、やはり懇親の場で同席していた女性に抱きつくセクハラ行為で前社長の斉藤猛氏が解任された。2年連続の不祥事に「エネオスはどうなっているんだ」(財界関係者)と、驚きの声があがった。その立て直しを期待されて社長に抜擢されたのが宮田氏だ。また従来はHD社長が兼務していた事業会社のエネオス社長に、山口敦治執行役員が昇格した。

 エネオスは17年にJXホールディングスと東燃ゼネラル石油が統合して発足し、旧日本石油系のJX出身者がトップを占めてきた。「売上高2兆円規模の東燃ゼネラルが8兆円近くのJXホールディングスに吸収統合されたのが実態だった」(金融筋)とされる。そのエネオスHD社長に初めて東燃ゼネラル出身の宮田氏が就いたことで、傷ついた企業イメージの刷新を目指すのだが……。

 セクハラで辞任した杉森氏、斉藤氏とも旧日石出身者で、杉森氏は販売・勤労畑、斉藤氏も販売畑の営業上がりだ。一方、宮田氏と山口氏はともに理系出身の技術者。宮田氏は東京工業大学大学院で原子力工学を専攻し、1990年に東燃に入社。和歌山や川崎の工場長を歴任してきた製造畑の人物だ。また、山口氏は、94年東大大学院化学工学修士修了で、三菱石油入社組。「出身母体は違うが、ともに理系出身で、宮田氏は東大卒の山口氏を買っていた」(メガバンク幹部)という。

■合理的な製油所再編は評価されたが…

「労働組合や特約店と酒を酌みかわし、親交を深めるのが役員への近道」という、泥くさい日石と違い、宮田氏は、外資系技術者ならではの合理主義者だという。製油所の再編でも旧社のしがらみにとらわれずに合理的に議論を進めたと評価されている。

 だが、東燃と日石の下克上ともいえるトップ人事に、日石出身者内では不満もくすぶっている。「ご自慢のポルシェを乗り回し、ワイン通を気取る宮田氏。1日1000回の腹筋を欠かさないナルシシストの宮田氏に内心、反発心を抱く日石出身者は少なくない」(関係者)という。

 エネオスでは取締役が出席する宴席では管理職や役員が相互に監視し、不祥事が起きた場合は連座して責任を負う新ルールが設けられた。

 宮田氏は就任会見で「私自身の意思としてそういうこと(セクハラ)は起こしません」と明言したが、社内の主導権争いで、思わぬつまずきがなければいいが……。

(小林佳樹/金融ジャーナリスト)

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