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五輪サッカー日本対イスラエル戦がテロのハイリスク試合として警戒されている【五輪現地発 パリは今日もクレージー】#1

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月19日 8時20分

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パリのエッフェル塔近くで警備に当たる兵士(C)ロイター

【五輪現地発 パリは今日もクレージー】#1

 ボンジーア! ブラジルのリカルドです。みなさん、ボクのことを覚えてくれているかな? 今までカタールW杯や女子W杯のクレージーネタをお届けしてきたけど、今回はパリ五輪の裏話をしたい。オリンピックってやつも、めちゃくちゃクレージーな大会だからね。

 今回のパリ五輪は、これまで開催された欧州のイベントの中で警備するのが最も複雑で困難といわれている。残念ながら、ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナの2つの戦争のはざまで行われる大会になるからね。

 セキュリティーにかける予算は3度も増額されているけど、まだ足りないって話だ。中でも組織委員会はイスラエルへのテロをすごく警戒している。ガザ侵攻への抗議が世界中で行われていて、それはパリの名門ソルボンヌ大学でも同じ。おまけにパリは欧州の中で最もアラブ系移民が多い街だからね。

■諜報機関モサドを連れて厳戒態勢

 みなさんは1972年ミュンヘン五輪(ドイツ)で、イスラエルの選手とコーチ11人が選手村に侵入したパレスチナ系テロリストに殺された事件を知っているかな? 以来、イスラエルチームは遠征する際、必ず自国から護衛を連れて行く。今回は諜報機関モサドがかなりの人数送り込まれるって話だ。さらにフランス陸軍のエリート部隊、外国人部隊もパリの警備に呼び寄せられ、今はフランス南部で訓練をしている。民間の警備員も1日2万2000人が動員されるらしい。

 警備にはさまざまなテクノロジーも駆使されるよ。例えばパリの街は必要に応じて各区の入り口を封鎖する予定だ。許可がなくちゃ住民もタクシーもウーバーイーツも移動できない。入るには事前にQRコードを申請して、提示しなきゃいけないんだ。それから無人機攻撃も懸念して違法なドローンを網でからめ捕るスパイダーウェブガンが用意されているそうだ。不審な行動をする人物を群衆から割り出すAIカメラの導入も決まってる。顔認証を使っての24時間の監視も議会を通り、これはプライバシー侵害だって問題になっている。

■大岩ジャパンの首位通過に組織委が安堵

 ところで大会組織委員会は、日本のサッカー代表が首位通過してくれたことに、ものすごく感謝しているんだよ。試合前からアジア杯優勝チームはイスラエルと同組に入ることが決まっていた。ところが、準決勝に残った4チーム中3カ国がイスラム圏の国(ウズベキスタン、イラク、インドネシア)。彼らがイスラエルと衝突したら何が起こるか分からないからね。ただ、日本対イスラエルの試合は、五輪の中でもテロのハイリスクマッチのひとつに数えられている。サッカーは世界で最も注目度が高いし、観客動員数も多い。残念ながら試合は物々しい警備の中で行われるだろう。それにしても「平和の祭典」の「平和」をここまでしなきゃ守れないなんて、まさにクレージーだよね。 (つづく)

  ◇  ◇  ◇

●関連記事【続きを読む】セーヌ川は「大腸菌地獄」…“泳ぐと罰金”レベルの汚染度で心配なアスリートの健康被害 につづく。

  ◇  ◇  ◇

(Ricardo Setyon/ジャーナリスト)

▽翻訳=利根川晶子(とねがわ・あきこ) 埼玉県出身。通訳・翻訳家。82年W杯を制したイタリア代表のMFタルデッリの雄叫びに魅せられ、89年からローマ在住。90年イタリアW杯を目の当たりにしながらセリアAに傾倒した。サッカー関連記事の取材・執筆、サッカー番組やイベントで翻訳・通訳を手がける。「カカから日本のサッカー少年へ73のメッセージ」「ゴールこそ、すべて スキラッチ自伝」「ザッケローニ 新たなる挑戦」など著書・訳書多数。

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