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技術とメンタルを試す究極のセッティングがデシャンボーとマキロイの好勝負を引き出した(羽川豊)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月19日 9時26分

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ウイニングパットを沈めて雄たけびを上げるデシャンボー(C)ロイター/USA TODAY Sports

【羽川豊の視点 Weekly Watch】

 最終日終盤はB・デシャンボー(30)とR・マキロイ(35)の一騎打ちの様相となった今年の全米オープン。LIVゴルフとPGAツアーを代表する2人だけに、「どちらも負けられない戦い」という見方をしていたファンも多かったのではないでしょうか。そんな因縁めいた話は別にして、まさに手に汗握る一進一退の好勝負でした。

 舞台となった米ノースカロライナ州の「パインハースト№2」は周囲が刈り込まれた砲台の高速グリーンが特徴です。狙いどころが1ヤード違うだけで、ピンの手前に落ちたボールでもグリーンの奥に転がり落ちてしまう。5メートル以内のバーディーチャンスにつけるにはグリーンの半分以上は視界から消さなければならないほど、精度の高いアイアンショットが求められます。

 おわんを逆さまにしたようなグリーンの左右や奥に外せば簡単に寄せることはできず、傾斜にぶつけて転がすか、ピッチエンドランでいくか、ロブでふわりと上げるか、想像力を働かせてパターやウエッジ、ウッドなどを選択する。首尾よく1メートルに寄せても、パーパットがカップ横を抜けると2メートルもオーバー。そこで心が切れたら終わりです。厳しい舞台で一打を争う戦いは、心の強さも求められます。技術とメンタルを試す主催者(全米ゴルフ協会)の究極ともいえる演出は心憎いばかりです。

 勝負は最終18番のパットが明暗を分けました。マキロイは1メートルのパーパットがカップに蹴られ、デシャンボーはバンカーから55ヤード先のピンに向かって打った3打目を1.2メートルへつけ、これを沈めて2020年大会以来のメジャー2勝目を手にしました。

 松山英樹(32)はデシャンボーと4打差の通算2アンダー6位に終わりました。8番まではパーが続く重い雰囲気の中、そこで一つでもバーディーパットが入っていれば流れは変わっていたでしょう。ショットが安定していただけに、本人も悔しかったはずです。

 若手が台頭してきた日本勢の中にあって、松山の実力はやはり別格です。首や背中の痛みに苦しんできましたが、今回は「まだまだ若手には負けないぞ」という気概を感じるプレーを見せてくれました。7月の全英オープンは体調を整え、2021年のマスターズ以来となるメジャー2勝目を目指して欲しいものです。

(羽川豊/プロゴルファー)

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