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「最後の喜劇役者」伊東四朗さんを“最後”にしないように私たちも頑張って喜劇の灯をともし続けたい(ラサール石井)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月20日 7時2分

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伊東四朗(C)日刊ゲンダイ

【ラサール石井 東憤西笑】#209

 現在、新橋演舞場において熱海五郎一座「スマイルフォーエバー ~ちょいワル淑女と愛の魔法~」を上演中である。

 早いもので演舞場に進出して、11年目。途中コロナで1回の休止があり、今回は伊東四朗さん、松下由樹さんをゲストに迎え、10回目の節目の興行だ。

 三宅裕司、渡辺正行、小倉久寛、春風亭昇太、東MAX、深沢邦之、そしてラサール石井のおじさんたちで、いや、もうおじいさんたちで、開始当初はこんなに続くとは思っていなかった。何せ歌舞伎も行われる由緒ある劇場。そこに1回目は男性下着ショーのシーンで長い赤フンで花道を埋め尽くした。往年のファンには眉をひそめる人もいたが、今やすっかり認められ毎年5万人を動員する人気劇団だ。

 そもそも始まりは伊東四朗一座だった。伊東さんと東京喜劇をやりたいと思う仲間が結集した。そこに呼ばれた私は狂喜乱舞した。何せ伊東四朗さんは、子供の頃から笑いを目指し喜劇役者を夢見ていた私にとって、憧れであり目標の、きらめく星のような存在だったからだ。

 てんぷくトリオとして三波伸介、戸塚睦夫、伊東四朗の3人組で大人気。当時戸塚睦夫さんが肝臓を壊し入院。無事退院した復帰の生放送を、中学生の私は見ていた。伊東さんが戸塚さんを指して「この人肝臓を痛めてまして、レバー炒め」と言ったのだ。「この人はなんて面白いことを言うんだろう」と石井少年はぶっ飛んだ。それ以来、自分の夢はこの人みたいになることだと見定め生きてきた。

 先日公演中に伊東さんは87歳の誕生日を迎えられた。驚異の年齢だ。かつてこれほどの年で舞台に立つ喜劇役者を見たことがない。しかも、ちょいと賑やかしに出るのではない。主役でほぼ出ずっぱりなのだ。

 もちろん出来るだけ伊東さんを動かさないように工夫している。そのための設定が魔法なのだ。伊東さんが杖を振るだけで、若者がとんぼを切ってやられるというギャグだ。途中2回ほど伊東さんが言いよどみ、三宅さんがフォローするギャグもあえて台本で入れた。

 いや、確かに稽古場ではその歩きやセリフに少し不安にもなった。しかし、客前になったら驚いた。背筋が伸び、セリフのテンポが倍ぐらい速くなった。これが喜劇役者だ。

「最後の喜劇役者」──人は伊東四朗さんをそう呼ぶ。もちろん異論はない。だが、我々も伊東さんを最後にしないように頑張らなければならない。喜劇の灯をともし続け、どこまでも板の上に立ち続けていなければ。

(ラサール石井/タレント)

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