引っ張りダコの大泉洋が象徴「タレントは好感度が命」 彼こそ「マルチ」と呼ぶにふさわしい
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月20日 9時26分
![引っ張りダコの大泉洋が象徴「タレントは好感度が命」 彼こそ「マルチ」と呼ぶにふさわしい](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/gendainet/gendainet_1051315_0-small.jpg)
大泉洋(C)日刊ゲンダイ
【芸能界クロスロード】
都知事選がスタートする。現職の小池百合子と蓮舫の女の闘いは最大関心事。知事は個人を選ぶ選挙で、浮動票と呼ばれる人たちの判断材料の決め手になるひとつが好感度だ。
「よい印象。不快を与えない」を意味する好感度。「この人、感じがいい」か「嫌な人」かは、個々によって見方は異なるが、好感度の高さも立候補者には必要。無党派層が半分近くいるとされる東京だけに、好感度だけで票につながるかもしれない。
小池も蓮舫もテレビで培った好感度アップ法を熟知している。政策もさることながら有権者の心を動かすビジュアル・演説における熱意、そして、女性ならではの選挙ファッションと笑顔。とりわけ、国政の女性議員に足りない笑顔などはお手のもの。選挙戦前から連日、テレビに取り上げられる蓮舫の笑顔がやたらと目立っていた。選挙戦に入れば小池の笑顔の巻き返しが始まる。笑顔の数だけ票が入るかも。
芸能界でも好感度の高い人は決まって笑顔がいい。「家族に乾杯」の笑福亭鶴瓶は常に満面の笑みで街ゆく人と接している。悪く言う人はいない鶴瓶は芸能界きっての好感度の持ち主である。明石家さんまが歯を出して笑い転げる姿はいまだに健在。好感度につながっている。
芸人の例を出すまでもなく“素”の出るタレント業は好感度次第で仕事は増えもすれば、減りもする。
不祥事を起こせばたちまち仕事に影響するのがタレントの宿命。宮迫博之は闇営業で、渡部建はトイレ不倫で好感度は一気に下落。仕事も失った。今も復帰への執念を見せているが、地上波に戻ったとしても昔のような活躍は難しいだろう。
タレントに比べ俳優や歌手は、さほど好感度の影響は受けない。芸能関係者によれば、「タレントのように特に好感度を気にすることはない。バラエティーなどに出る際だけ悪い印象を残さないように注意するくらい」という。
それでも自然に「いい人」と好感度を上げているのが、現在、引っ張りダコの人気を誇る大泉洋だ。
地元の北海道で演劇ユニット「TEAM NACS」結成。地元テレビのバラエティー番組での活躍をきっかけに東京進出。あれよ、あれよという間に俳優、司会、歌手としてマルチに活動。どのジャンルでも大泉の魅力をいかんなく発揮している。
俗にマルチタレントは「多才」と取られがちだが、歌手や俳優からタレントに軸足を移したようにしか見えないベテランも見受けられる。
「この人、歌手だったの」「昔、主演する俳優だったんだ」と認識を改める若者も少なくない。
しかし、大泉は「マルチ」と呼ぶにふさわしい。映画ではコメディーからシリアスまで主演を張る。ドラマでは大河から民放まで役の幅も広い。バラエティーに出れば、芸人に負けず劣らずのしゃべりと、リアクションでお株を奪う。
司会も器用にこなす。3年連続で「紅白」の司会を務めたのも、類いまれなアナウンススキルをNHKが買ったのだろう。
元NHKアナの有働由美子が春から初の音楽番組の司会をしているが苦戦続き。正統派過ぎて面白みに欠けている。対照的に大泉の「SONGS」の司会は相手の懐に入っていく話術と面白さがある。
各ジャンルで存在感を示す大泉。本人は「どれも中途半端」とインタビューで語っているが、テレビ界の地図を確実に塗り替えている。
(二田一比古/ジャーナリスト)
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