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転機を迎えるがん温熱療法…ガイドライン出版で注目される9月の学会【ハイパーサーミア療法の今を知る】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月26日 9時26分

転機を迎えるがん温熱療法…ガイドライン出版で注目される9月の学会【ハイパーサーミア療法の今を知る】

ハイパーサーミア治療器(提供写真)

【ハイパーサーミア療法の今を知る】#1

 日本人の3人に1人はがんで死ぬといわれたが、2022年のデータでは日本人ががんで死亡する確率は男性が4人に1人、女性は6人に1人となった。その理由は画期的な治療法が生まれたからではない。手術、抗がん剤、放射線といったがんの標準治療の成績を高める医療技術の結集=集学的治療に成功したからだ。そのひとつとして、近年注目を集めているのが「ハイパーサーミア(温熱)療法」だ。

 9月6日(金)・7日(土)に東京都江戸川区内のタワーホール船堀でがん治療の専門家などが集まる日本ハイパーサーミア学会第41回大会が開催される。昨年3月に日本初の「ハイパーサーミア診療ガイドライン」が刊行されたこともあり、23年ぶりの東京開催の同学会はがん治療専門医らから注目されているという。江戸川病院放射線科部長で大会長の黒崎弘正医師が言う。

「ハイパーサーミア療法は、がんの塊が42.5度以上の熱に弱いという性質を利用してがんを治療する方法で、対象となるがん種は幅広く、患者さんは治療器の中で寝そべるだけでよく、副作用も少なく何度でも受けられる通院可能な治療法です。1990年には公的保険の対象になり、さまざまながん種に対して優れた治療成績を残してきました。しかし、ガイドラインの整備が遅れていたため、がん治療専門医の間でも必ずしも周知された治療法とは言えませんでした。しかし、診療ガイドラインの刊行後は、最新のハイパーサーミア治療の成果が発表される学術集会に多くの医療関係者が注目しているのです」

■手術不能の膵がんの70代男性が発病40カ月無増悪を続行

 大会では、さまざまな興味深い報告が予定されている。例えば、膵がんで手術不能と診断された70代男性の症例が注目されそうだ。この男性は他の治療法を試みたものの副作用が強く中止となり、最終的に放射線療法+高圧酸素療法+経口抗がん剤+ハイパーサーミア療法を行うことで発症から40カ月の無増悪期間を継続中だという。

 ほかにも、遠隔転移の胃がんに対する化学療法にハイパーサーミア療法併用の効果を検討した報告が予定されている。2016~23年に遠隔転移が認められた進行胃がん並びに再発胃がん35例を、抗がん剤治療のみを行った23例と、抗がん剤治療にハイパーサーミア療法を施した12例に分けて比較検討したこの報告では、病勢コントロール率(DCR)は、抗がん剤単独群56.5%、併用群66.7%で、生存期間は抗がん剤単独群で9カ月、併用群で21カ月だったという。(つづく)

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