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IOCの「誕生日」にJOCは何をやっていたのか…結局求めるのはオリンピズムよりも日本のメダル(春日良一)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月28日 9時26分

IOCの「誕生日」にJOCは何をやっていたのか…結局求めるのはオリンピズムよりも日本のメダル(春日良一)

パリ五輪開幕まで1カ月を切る中…(C)ロイター

【7.26パリ大会開幕 徹底!実践五輪批判】#9

 6月23日は誕生日である。今から130年前のこの日、国際オリンピック委員会(IOC)はパリのソルボンヌ大学で産声を上げた。それは古代オリンピア祭の休戦思想を復興し、帝国主義がはびこる世界から戦争を回避しようとのフランスの教育者クーベルタン男爵の思いからだった。2つの世界大戦で夏季五輪は3回の中止を経験したが、第2次世界大戦後にこの日の意味を世界に刻むべくオリンピックデーとして祝うことになった。

 今では世界各地でこの日を祝すべくオリンピックデーランなどさまざまなイベントが展開されているが、果たしてオリンピックデーを知っている日本人はどれほどいるだろうか? 日本では夏冬4回もオリンピックを開催しているが。

 5回目となる札幌冬季五輪の招致について、日本オリンピック委員会(JOC)は、東京五輪汚職事件などで日本での五輪への肯定的な見方が減少している状況に、「今の日本ではオリンピック開催への理解が得られない。地道な努力しかない」と諦めたが、もし五輪理解を本気で考えるならばオリンピックデーにこそ訴えるべきことがあるはずだろう。

 しかし、その声は、一切聞こえてこない。公式ウェブに躍るのはパリ五輪に参加するチームジャパンへの応援である。

 結局求めるのは、メダルであり、選手の活躍というゴールだけに見える。それではコロナを経験したオリンピック運動にならない。

 コロナ禍で五輪を開催する意義を彼らが自ら発信できなかったのは、五輪の意義に競技力向上という結果しか思い至らなかったからなのが明らかだ。私は何度もそのことを訴えているが暖簾に腕押しである。

 JOCがビジョンに掲げる「オリンピズムが浸透している社会」を実現させたいのなら、まず国民に向かって、オリンピックデーが「スポーツによる世界平和構築」の第一歩であることをアピールする覚悟が必要だ。

 世界のスポーツ界はポストコロナに向かって進化している。IOCは今年のオリンピックデーでは「さあ動こう!」キャンペーンを打ち出した。パリ五輪開催まで準備を続ける選手と同じように、人々に体を動かすことを求めた。

 コロナ禍で誰とも接触できない状況でも、ひとりトレーニングを続けなければならなかった選手たちを鼓舞し続けた経験が生かされている。

 自らが運動する動画を #Let'sMove をつけてSNSで投稿することで、五輪選手を応援し、五輪休戦を願う。今年のオリンピックデーが求めることだ。

 その運動に参加する意思を各国のオリンピック委員会がそれぞれの国でリードすれば、それが世界平和への道になると私は思う。JOCに今日、それを問う。(つづく)

(春日良一/五輪アナリスト)

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