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筑波胃腸病院が導入した理由「地域のがん患者さんに希望と喜びを与えたい」【ハイパーサーミア療法の今を知る】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月28日 9時26分

筑波胃腸病院が導入した理由「地域のがん患者さんに希望と喜びを与えたい」【ハイパーサーミア療法の今を知る】

筑波胃腸病院の永井健太郎副院長(左=提供写真)

【ハイパーサーミア療法の今を知る】#3

 がん治療の新しい武器のひとつとして全国にその認知度を高めつつあるハイパーサーミア療法。今年2月から最新機器による治療を始めたのが、JR常磐線・牛久駅にほど近い「筑波胃腸病院」(茨城県つくば市高見原=鈴木隆二理事長、田村孝史院長)だ。永井健太郎副院長が言う。

「当院は、食道、胃、腸、肝臓、すい臓などの消化器系の診断と治療を得意とする専門病院です。日本消化器外科学会専門医修練施設にも認定されています。一般手術以外に、内視鏡下・腹腔鏡下手術にも注力。手術数は8000例を超えています。2007年には急増する食道、胃、大腸などの消化器がんに対応するため腫瘍化学療法外来を設置して、抗がん剤治療を行っています。ハイパーサーミアの最新治療機導入はその上乗せ効果を期待してのものです」

 実際、食道がんや直腸がんは、術前化学放射線療法とハイパーサーミア療法の併用に関してランダム化比較試験が存在。完全奏効率や生存期間の改善が示されているほか、他の消化器がんも併用による改善例が多く報告されている。

「正常細胞は加温すると、周囲の血管が拡張して、血流を増加して熱を体外に逃がす仕組みがあります。一方、がん細胞周囲の血管はもろい新生血管であるため、加熱すると血管が拡張できずに熱がこもってしまい、結果的にがん細胞は正常細胞よりも早く壊れてしまう。このためハイパーサーミア療法は単独でも効果があるとされています。がん患者さんの中には副作用が強すぎて抗がん剤を適量投与できないケースや、継続できないケースがあります。しかし、ハイパーサーミア療法を併用することで、少ない薬の量で通常の効果が期待できる可能性やハイパーサーミア単独による延命効果が期待できるのではと考えています」

 なぜ抗がん剤の増感作用が期待できるのか? 理由は2つ考えられる。1つはがん細胞を囲っている細胞膜の透過性が高まり、抗がん剤の取り込み量が増えてがん細胞内の抗がん剤濃度が高まること。もう1つは抗がん剤でダメージを受けたがん細胞の修復を温熱が阻害することだ。

「高齢者や体力が低下している人の中には、併用により抗がん剤の投与量を減らして長期にわたって病態を維持するケースが報告されています。副作用が少ない上、治療負担が軽く通院可能なこの治療法は、高齢化が進む私たち地域の、がん患者さんとその家族の希望と喜びにつながると考えています。当面は当院の患者さんを対象に治療し、将来的には他院からの紹介患者の受け入れも検討したい」 (つづく)

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