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五輪を人質にストライキ示唆で「給料上げろ」…ホテル、交通機関はぼったくり価格【五輪現地発 パリは今日もクレージー】#最終回

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月29日 11時27分

五輪を人質にストライキ示唆で「給料上げろ」…ホテル、交通機関はぼったくり価格【五輪現地発 パリは今日もクレージー】#最終回

フランス国鉄にパリ五輪期間中のボーナスを要求する鉄道労働者たち(C)Vincent Koebel/NurPhoto/共同通信イメージズ

【五輪現地発 パリは今日もクレージー】#最終回

 ボンジーア&ボンジュール!

 今日は実際にパリの人たちがこの五輪をどう見ているかを紹介しよう!

 前回の東京五輪はコロナ禍の真っただ中で、かなり開催反対の意見が出たよね。パリ五輪も自由に市中を動けなくなるなど、いろいろ不便になるけど、パリやフランス政府は威信をかけて、何が何でもこの大会を成功させたい。転んでもただでは起きないのがフランス人だ。それなら、いろいろな交渉事は今こそチャンスじゃないかって、中止を求めるより、利用しようと考えた。

 例えばパリのゴミ収集業者は、7月1日から9月8日まで大規模なストライキを予定していた。まさに五輪とパラリンピックの期間中だ。もし実行されれば、世界は悪臭放つゴミの山に埋もれたパリを目にすることになってしまう。パリ五輪の面目丸つぶれだ。実際、昨年の3月には3週間のストがあって街中がゴミだらけになった。ストを回避する条件として、彼らは毎月400ユーロ(約6万8500円)の賃上げと、オリンピック期間の1900ユーロ(約32万5000円)の特別ボーナスを要求。首尾よくそれをのませた。

 オリンピックを人質にとっての賃上げやボーナス交渉は、それだけにとどまらない。まずパリ交通公団が2月5日から9月9日までにわたる、とんでもなく長いストライキ実施を予告した。五輪期間は観光客増加で忙しくなるから、特別ボーナスが欲しいってことだった。これが認められると、「仕事が増えるのは同じ」と今度は鉄道職員、空港管制官、警官、消防士に中央政府の職員までも続いたんだ。メダルを製造している国立造幣局の従業員もストライキをしたって話だよ。

 オリンピックを利用するのは賃上げ交渉だけじゃない。おなじみの便乗値上げも、かなりえげつない。パリの3つ星ホテルチェーンでは通常の90ユーロ(約1万5000円)~200ユーロ(約3万4000円)の部屋が五輪期間は400ユーロ(約6万8500円)~700ユーロ(約12万円)に。高級ホテルでは300ユーロ(約5万円)が1500ユーロ(約25万7000円)まで上昇している。パリ全体では平均226%も宿泊費が上がるってことだ。

 また、エッフェル塔の上までエレベーターで行くのに、今まで29.40ユーロ(約5000円)だったものが、6月17日から35.30ユーロ(約6000円)に値上げされた。

 一方、パリの交通機関は7月20日から9月8日までの期間、「オリンピックぼったくり価格」を定めた。メトロは2.15ユーロ(約370円)から4ユーロ(約690円)、バスは2.5ユーロ(約430円)から5ユーロ(約860円)の100%(2倍)の値上げだ。

 普段からメトロやバスを使う人は、期間前に定期を買えば値上げは適用されないっていうけど、旅行者じゃそうもいかないよね。とにかく五輪期間のパリは大混乱になりそうだ。

 市は住民に在宅勤務を勧めているけど、多くの人が有休を使ってパリを離れるようだ。ボクたちが五輪で見るのは、パリジャンのいないパリかもしれないね。(おわり)

(Ricardo Setyon/ジャーナリスト)

▽翻訳=利根川晶子(とねがわ・あきこ) 埼玉県出身。通訳・翻訳家。82年W杯を制したイタリア代表のMFタルデッリの雄叫びに魅せられ、89年からローマ在住。90年イタリアW杯を目の当たりにしながらセリアAに傾倒した。サッカー関連記事の取材・執筆、サッカー番組やイベントで翻訳・通訳を手がける。「カカから日本のサッカー少年へ73のメッセージ」「ゴールこそ、すべて スキラッチ自伝」「ザッケローニ 新たなる挑戦」など著書・訳書多数。

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