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ワコールの大株主に海外ファンドが浮上…赤字のピーチ・ジョン売却はあるのか?(小林佳樹)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月29日 9時26分

ワコールの大株主に海外ファンドが浮上…赤字のピーチ・ジョン売却はあるのか?(小林佳樹)

ワコールHD本社(C)日刊ゲンダイ

【経済ニュースの核心】

 京都の名門企業、ワコールホールディングス(HD)がアクティビスト(物言う株主)に食いつかれている。シンガポールの投資ファンド、3Dインベストメントが5.13%を保有する大株主に浮上。その後、3Dはさらにワコール株を買い増し、保有比率は6.19%まで高まっている。これに伴いワコールの株価は急騰している。

 3Dは、「純投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為を行う」ことを保有目的としており、株主還元を含めた企業価値向上策や不採算部門の売却で圧力をかけてくるとみられている。

■コロナ禍が直撃

 ワコールは女性用下着で国内トップの企業で、京都の企業らしく無借金経営を続けている。だが、70%以上が百貨店や量販店など小売店における対面販売が占めていることもあり、コロナ禍の影響をまともに受けた日・米・中いずれの市場でも苦戦した。「2023年3月期には、買収したインティメイツ・オンラインの業績悪化に伴って、ワコールアメリカがのれん代など約101億円の減損損失を計上。創業来最大の危機として捉え、22年11月に責任を取る形でワコール社長の伊東知康氏が交代。23年6月の株主総会で持ち株会社社長の安原弘展氏も交代した」(大手信用情報機関幹部)。現在は、持ち株会社は矢島昌明氏、事業会社のワコールは川西啓介氏がそれぞれ社長を務めている。

 危機を回避するため、23年2月には「フレックス定年制度」と称した希望退職制度の利用を募り、当初250人を想定していたが、応募者は155人で関連費用約7億円を計上した。こうした努力もあり、25年3月期は3期ぶりに黒字転換する見通しとなった矢先にアクティビストに食いつかれた格好だ。

 高級女性用下着に強みを持つワコールは、「ワコール」「ウイング」「アンフィ」などのブランドを展開している。また「ピーチ・ジョン」「ウンナナクール」「ルシアン」など、年齢を含めたターゲット層ごとにブランドが存在しており、子供から大人まで幅広いラインアップを有している。

 3Dはどういった企業価値向上策で圧力をかけてくるのか予断を許さない。「いくつかのブランドは手放さなければならないかもしれない。赤字となっている海外事業のピーチ・ジョン売却が俎上に載る可能性がある」(大手証券幹部)と指摘される。

 ワコール創業者の塚本幸一氏は、太平洋戦争のインパール作戦を生き抜き、戦後、ワコールを女性用下着トップメーカーに育て上げた。死線を乗り越えた創業の精神が蘇るか。

(小林佳樹/金融ジャーナリスト)

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