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手術を受ける時に注意すべき「サプリメント」がある【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月29日 9時26分

手術を受ける時に注意すべき「サプリメント」がある【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

写真はイメージ

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 以前、血をサラサラにするクスリを取り上げた回で「手術前には休薬が必要になる」というお話をしました。今回は、手術を受ける際にクスリと同じく「中止したほうがいいサプリメント」について説明します。ただ、個々のサプリメントではなく、含まれている成分についての話になります。ご自身が使われているサプリメントの成分表と照らし合わせながらご一読ください。

 まずは、出血リスクが増加するサプリメントです。「イコサペント酸エチル(EPA)」や「ドコサヘキサエン酸(DHA)」「イチョウ葉エキス」「ニンニク」「チョウセンニンジン」「ショウガ」「アロエ」「ノコギリヤシ」の成分を含むサプリメントが該当します。特に高齢者で使われている可能性があるものは、チョウセンニンジンやノコギリヤシでしょうか。チョウセンニンジンは滋養強壮や免疫機能の強化などに効果があるといわれていますし、ノコギリヤシは前立腺肥大症に伴う排尿障害に対して使っているという高齢の男性もいらっしゃるかと思います。

 これらの多くは、成分自体に血液凝固阻害作用や末梢循環改善作用があり、特に血をサラサラにする薬と一緒に使っていると手術の際の出血リスクを高めます。ノコギリヤシは、理由は分かっていませんが、やはり出血リスクが高くなることが知られています。手術の時に出血が増えると命に関わりますので、そういったリスクを避けるためにも手術前には中止したほうが良いでしょう。

「セントジョーンズワート」は気分を落ち着かせてくれる成分です。これは、医薬品との間にいくつか相互作用があり、そういったクスリの効果を弱めてしまう可能性があります。手術直後などは体にさまざまな変化が起こりますので、こうしたリスクも避けたいところです。

「麻黄」を含むサプリメントや市販薬も注意が必要です。麻黄は心臓や血管といった循環器系に作用して、不整脈などの原因になることがあります。手術後はただでさえ循環器系が不安定になるケースがあるので、そういったサプリメントも中止しておいたほうが安心です。

 では、どのくらい中止すればいいのかというと、基本的には2週間中止しておけばそうした成分による影響を受けなくなるといわれています。ですので、手術予定日(もしくは入院日)の2週間前から中止というケースが多いでしょう。

 ここではあくまで一部の例を挙げましたが、他にも免疫系に作用するなどさまざまな成分があります。手術時のあらゆるリスクを回避するためにも、ご自身が使用しているサプリメントは受診の際に必ず薬剤師などの医療従事者に伝えるようにしましょう。そうすることで、より安心して手術が受けられるようになりますよ。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

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