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糖尿病と認知症を合併した親の血糖値コントロールはどうすればいい?【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月1日 9時26分

糖尿病と認知症を合併した親の血糖値コントロールはどうすればいい?【介護の不安は解消できる】

デイケアなどを上手に利用する

【介護の不安は解消できる】

 糖尿病の方はそうでない人に比べて認知症を発症しやすいのはご存じでしょうか。アルツハイマー型で約1.5倍、脳血管性認知症は約2倍リスクが高まるとされ、未治療の糖尿病は最も危ない危険因子のひとつといわれています。

 在宅介護で問題になりやすいのが「血糖コントロール」です。糖尿病の人が認知症により食事や運動、内服薬や注射といったセルフケアが難しくなると、両者の症状が悪化する恐れがあります。

 とりわけ糖尿病の内服薬は、1日数回、薬によっては食前と食後に分けて服用しなければならず、認知機能が低下している方にとっては非常に複雑です。飲み忘れると高血糖となり、記憶力や遂行能力、注意力の低下といった認知機能障害を来します。

 さらにインスリン注射やスルホニル尿素(SU)薬で治療をされている場合、意識障害を来すような重症低血糖のリスクが高くなり、注意が必要です。しかし、認知症があると重症低血糖を1.61倍起こしやすいうえに、重症低血糖で脳にエネルギーが供給されなくなると認知機能の低下を招きます。悪循環に陥らないためにも、家族は本人のQOL(生活の質)を維持しながら血糖コントロールを行う必要があるのです。

 認知機能が低下している場合、服薬管理がしやすいように薬の数や服薬回数を減らすといった「治療の単純化」を行います。以前からインスリン治療を行っている人で、注射はできるが打つタイミングを把握しづらい場合は、家族が声かけを行うことがあります。訪問看護を利用して、週1回の投与が可能なGLP-1受容体作動薬などを注射してもらうこともできます。内服や注射の管理が難しければ一度かかりつけ医に相談してください。

 デイケアへの通所もお勧めです。血糖値や認知機能の改善には運動が有効とされますが、認知症があると自発的に取り組むのは難しい。デイケアでは理学療法士の指導のもと筋トレを含む運動やリハビリを受けられるので、介護保険サービスを積極的に利用しながら、週に2回程度通うといいでしょう。

 なかでも注意したいのが食事制限です。認知症と糖尿病を合併した方を介護している家族は血糖値を気にして、つい過度なカロリー制限を行っているケースも少なくありません。「食べる」ことは最もヒトの心を満たす重要な行為なので、その機会を奪い取ってしまうと精神的負担から認知症の症状が悪化する恐れがあります。血糖にこだわり過ぎず、週に何回かはおやつの時間を設けるなど、本人にとって満足感が得られる食事を心がけてください。

▽荒木厚(あらき・あつし)1983年京都大学医学部卒業、95年ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ留学、2019年東京都健康長寿医療センター副院長を経て現在の東京都健康長寿医療センター健康長寿医療研修センター長を務める。

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