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超円安がもたらす狂乱物価の悲劇…大企業の売り惜しみが始まる?(中西文行)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月5日 9時26分

超円安がもたらす狂乱物価の悲劇…大企業の売り惜しみが始まる?(中西文行)

円安はどこまで?!(C)日刊ゲンダイ

【経済ニュースの核心】

 資金循環統計(1~3月速報)によれば、個人金融資産が2199兆円(前年同期比7.1%増)と過去最高を記録した。伸び率は2~3%程度の賃金や物価の上昇率を大きく上回った。

 個人の金融資産は増加しても、富裕層の消費性向が上がり、消費支出が伸びるわけではない。逆に、多くの高齢者が足元の物価上昇や将来への健康不安(要介護)から消費支出を抑え、貯蓄性向が伸びた結果とも思える。

 為替相場は、1ドル=161円台と38年ぶりの円安を記録。外国証券を保有する富裕層は喜んでいようが、庶民には、今後の輸入物価の上昇により、タイムラグを伴い企業物価、そして消費者物価の上昇へと波及、消費支出に影響する。

 この先も、円安、物価上昇が見込めるなら、企業は売り惜しみ、在庫を積み上げる。そのため商品の需給バランスがタイトとなり、物価上昇に拍車がかかる公算がある。オイルショックの「狂乱物価」のとき、物価の先高観から庶民は買いだめに走り、総合商社など大手企業は売り惜しみし、利益を上げた。

 政府、日銀は、一段の円安を回避するため、日米金利差の縮小を意識した政策金利の引き上げを急ぐだろうか。中央銀行の重要な役割は「物価の安定」だからだ。

 米財務省は6月20日、為替政策報告書を公表。「為替操作監視対象」リストには、前回の報告書で対象となっていた中国、ドイツ、マレーシア、シンガポール、台湾、ベトナムの6カ国・地域のほか、新たに日本が加わった。日本は4、5月に為替介入を実施したが、今後の為替介入に難易度が増せば、政策金利の引き上げしか打つ手がない。

 農林中央金庫は、24年度中に米国債など10兆円を売却する方針という。当初予定よりも欧米の金利低下が遅れるとみて外債の損失を確定させる。10兆円のドル、ユーロの債券を円転なら円買い、円高要因である。外債を多額保有するGPIFや生損保など他の大手機関投資家も同調するだろうか。

 日銀の政策金利の変動は、住宅投資にも影響を与える。変動型住宅ローン利用者の世帯年収は600万超~800万円以下が最も多く、固定金利選択型、金利固定型の利用者の世帯年収は400万超~600万円以下が最も多い。

 いずれの金利タイプも融資率「90%超~100%以下」が最も多い。将来の「金利上昇」という観測自体が、住宅ローン利用者を生活防衛、消費抑制へ促す。景気は「気」だからだ。

(中西文行/「ロータス投資研究所」代表)

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