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日本語における「相づち」は単なる応答ではない…共感の手段【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月5日 9時26分

日本語における「相づち」は単なる応答ではない…共感の手段【科学が証明!ストレス解消法】

日本人は会話における“食い気味民族”

【科学が証明!ストレス解消法】#172

 日本人は、会話において独特の文化を持っているといわれています。

 例えば、「はい」と「いいえ」。「昨日はよく眠れましたか?」といった質問を、日本語のほかに英語や韓国語、オランダ語といった各国の言語で返答速度を比較したところ、日本語は平均にして0.007秒で返ってくるというデータがあります。

 英語のYesとNoが0.24秒といわれていることに鑑みると、いかに日本の「はい」「いいえ」がとても速い反射速度で行われているかがわかると思います。日本人は、会話における世界屈指の“食い気味民族”だともいわれているんですね。

 また、日本のコミュニケーションにおいて「相づち」は大きな役割を果たしますが、実はこの相づちに関しても独特だといわれています。

 相づちは単なる応答ではなく、話し手の感情や意見に対する共感を表現する手段にもなります。相づちや合いの手を入れることで、話し手と聞き手の心理的距離を縮めることができるため、うなずいたり、「そうなんだ」などのリアクションは、とても有効な手段となります。

 お隣の中国でも相づちは存在するのですが、中国語での相づちの頻度は日本語の2分の1程度とされています。しかも、日本語の相づちは「聞いている」「理解している」という信号を送る機能としての役割を持っていますが、中国語の相づちは主に賛意を表す場合に使用されるといいます。 日本語のコミュニケーションにおける相づちは、心の距離を縮める方法として有効なのに対して、中国語の相づちはそれほど重視されていない傾向がある。こうしたことからも、日本の相づちが独特なものだと分かるのではないでしょうか。

 ただし、単調な相づちを続けるのはNGです。「なるほど」とか「すごい」といった相づちを連続すれば、話し手は「話を聞いていないのではないか」といった印象を受け、心理的距離は離れていってしまいます。

 興味深いことに、相づちはチャットツールでも役割を持つという点です。お茶の水女子大学の倉田の研究(2018)によれば、LINEなどでも感情を表すためにスタンプなどで相づちを入れると明らかにしています。

 表情や身ぶり手ぶりのない、いわゆる非言語情報が欠如するLINEでは、相づちの代わりにそういったバーチャルな相づちで積極的に会話に参加している。相手のメッセージの直後にポストされる「直後のバーチャル相づち」は同期性を高めるために単独で送信される傾向が強く、しばらくしてからメッセージに対してポストされる「非直後の相づち」は、実質的な内容を表すレスポンスとともに送信されることが多いとも述べています。

「了解です」、了解を意味する「りょ」などと、淡泊なレスポンスが直後に返ってくると、送った方は不安になるかもしれません。しかし、返信した人にとっては相づちを打っている感覚に加え、同期性を高める意図がある。そう考えると、言葉足らずな返信にいちいち目くじらを立てることもなくなると思います。デジタルなやりとりにも、相づち的なものがあるということをお忘れなく。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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