1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

ウィンブルドンから世界が見える テニス発祥の地の矜持を保ちつつ、時代に即して変化【スポーツ時々放談】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月6日 9時26分

ウィンブルドンから世界が見える テニス発祥の地の矜持を保ちつつ、時代に即して変化【スポーツ時々放談】

ウィンブルドン男子第1シードのシナーは22歳(C)ロイター

【スポーツ時々放談】

 青々とした芝の上で第137回ウィンブルドン選手権が開催されている。賞金総額5000万ポンド(約100億円)、シングルスの優勝賞金270万ポンド(約5億4000万円)──テニス界最大のイベントだ。

 錦織圭は全盛時、ここは国旗を振っちゃダメなんですねと驚いていた。白を基調としたウエアなど伝統ある大会ならではのルールがあり、かつては記者も上着とネクタイ着用が決まりだった。

 わたしはサンダルを履かざるを得ない事態になり、小首をかしげる入り口の老紳士に「ガウト(痛風)で……」と話すと、「ソー、ソーリー(それはお気の毒に)」と心からいたわってくれた。痛風が世界中に友達をつくることを“聖地”で知った。

 硬式テニスの正式名称は「ローンテニス」、芝の球技だ。いまはハードコートの全米、全豪もそもそもは芝の上で行われた。テニス発祥の地の矜持は厳として保ちつつ、時代に即した変化も取り入れている。

■目を引くイタリア勢の躍進

 開閉式コートが2面できて限定的に夜の試合も行われる。絶対に休んだ中間日曜日も2年前に開催され、記者席にはポロシャツやTシャツ姿が増えた。冷戦崩壊とEU拡大で東欧や南米が台頭し、開放的になったのだ。

 アメリカ中心の80年代から、リオス(チリ)、クエルテン(ブラジル)、ヒンギス(スイス)が現れ、今世紀に入ってサフィン(ロシア)、フェデラー(スイス)、ナダル(スペイン)、ジョコビッチ(セルビア)、錦織、女子もシャラポワらロシア勢に李娜(中国)……。聖地の伝統の土台の上に展開される、多様性と変化に富んだ世界ツアーのアップデートな話題がテニスを特別な競技にしている。

 今大会で目を引くのがイタリア勢の躍進だ。第1シードの22歳、シナーを筆頭に男子シングルスに10人が名を連ねた。スキアボーネやペンネッタといった女子の活躍と悪童フォニーニの人気をてこに、イタリア協会はミラノにU21王座決定戦「ネクストジェン」、ATP最終戦をトリノに誘致し、アルプスの麓からシチリア島までの多様な国勢を巧みにまとめ上げた。

 シナーは「ネクストジェン」の優勝から駆け上がって先月、同国初の世界ランク1位に。同国初のウィンブルドン制覇をうかがう。

 イタリアには地中海の避寒地で栄えたクレーコートの伝統があった。若者の伝統への挑戦に、スペインを変えたナダルが重なる。ナダルの聖地初優勝も22歳だった。

(武田薫/スポーツライター)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください