新NISAの選択肢が拡大「米国債」が新成長投資枠の対象に【マネーの教科書】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月6日 9時26分
米ドル預金と比較してみては(C)日刊ゲンダイ
【マネーの教科書】
新NISA(少額投資非課税制度)の投資対象が広がっている。大和アセットマネジメントは、4月に2つの商品「iFreeHOLD 米国国債」「iFreeWallet 米ドル」の運用を開始した。
「iFreeHOLD」は、米国債を対象とした投資信託で新NISAの成長投資枠に対応している。これまでも新NISA対象の債券ファンドはあったが、同商品の特徴は分散投資せず、1銘柄の米国債を投資対象にすること。そのメリットは、購入時点で利回りが確定できること。通常の債券ファンドの場合は、複数の債券に投資して売買が行われているため、売却するまでは利回りは確定できない。同商品は1銘柄を投資対象とし、満期まで保有するため利回りが確定できる。
同商品の償還日は2044年6月15日。6月21日に購入したとすれば、最終利回りは米ドル建てで年4.55%となる。20年後の為替レートがいまと同じ水準であれば、100万円の投資で約240万円に増える計算だ。
為替リスクの計算もしやすい。購入時よりも円高になれば為替リスクが発生するが、このケースでは、1ドル=65円まで円高にならなければ、元本割れすることはない。コストは年約0.17%の信託報酬がかかる。
「iFreeWallet 米ドル」は、米ドルMMF(投信の一種)に似た商品。米ドルMMFは手軽に外貨運用が可能な商品で、利回りは現在4.5%程度。格付けの高い債券で運用されるため、元本割れのリスクが低い。米ドル預金の代わりに利用されるケースも多い。ただし、新NISAの対象ではないため、利益の20%に課税される。
「iFreeWallet 米ドル」は、新NISAの成長投資枠の対象となっているため、非課税で運用が可能。また、米ドルMMFと同様に元本割れのリスクは低い。さらに、米ドルMMFは運用コストとして年0.7%程度の管理報酬が必要だが、「iFreeWallet 米ドル」は年約0.2%に抑えられているのもメリットといえる。
いずれの商品も運用が始まったばかりであるため、実績は判断しにくいが、新NISAに新たな選択肢が生まれたことは間違いないだろう。
(ジャーナリスト・向山勇)
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