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最短1日でプラークを除去できる歯周病治療「ペリオド」ってなんだ?

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月6日 9時26分

最短1日でプラークを除去できる歯周病治療「ペリオド」ってなんだ?

先ずはブラッシングの指導を

 歯周病は日本人の5人に4人、国民の80%が罹患している国民病のひとつ。ただ、治療期間が長く、受診を後回しにしているうちに再発を繰り返す人も少なくない。そんな人は、たった1回で歯周病菌を除去する「ペリオド」治療を検討してみてはどうか。「東京国際クリニック/歯科」院長の清水智幸氏に聞いた。

 歯周病とは、歯と歯茎の間にある溝(歯周ポケット)に歯周病菌が入り込んで引き起こされる歯茎の炎症だ。不十分なブラッシングで歯周病菌が繁殖すると、歯の表面に歯垢(プラーク)が付着して歯茎が腫れたり出血しやすくなるほか、進行すると歯周ポケットが深くなり、歯を支えている骨が溶けて歯がグラグラになって最終的に抜け落ちる。さらに近年の研究では糖尿病の悪化や心筋梗塞、呼吸器疾患のリスクを高めるとの報告もあり、早めの対策が肝心だ。

 ただ、現行の保険制度では口腔内の歯を上下、前後、左右に6分割して、一度に1ブロックずつの治療が基本だ。そのため仮に1ブロックを完治させたとしても、未治療の部位に歯周病菌が存在すれば安易に再感染を招きやすい。

「また治療期間が半年~1年に及ぶので、完治する前に通院を中断される方が少なくありません。そこで治療の効率化を考えて取り入れたのが『ペリオド』です。これは世界の歯周治療をリードするスウェーデンのイエーテボリ大学で開発された『Fm-UD』と呼ばれる超音波治療を基にした方法で、歯周病の原因となるプラークを最短1日で除去する非外科的治療です。軽度な人から、炎症の程度がひどく他院で抜歯が必要と言われた重度の人まで対象で、当院では毎月30~50人の患者さんがペリオドを目的に受診されています」

 ペリオドは、歯周病専用に作られた超音波スケーラーの微細振動で歯茎内のプラークや歯石を粉砕する方法だ。治療時間は約2時間で、重度の場合には、手術によってプラークや歯石を除去したり、失われた歯周組織を再生する外科的な処置が併せて行われる。

■ブラッシングとメンテナンスが重要

 ただし、冒頭で触れたように歯周病の原因は磨き残しによるプラークの蓄積だ。ペリオドを受ける前に、歯科衛生士によるブラッシングの指導を受ける必要があるという。

「どれだけ治療で歯垢を除去しても、磨き残しがあると数時間後に再び歯周病菌は繁殖します。中でも歯と歯茎の境目は歯垢が残りやすく、治療から1カ月経てば再び歯周ポケット内の歯垢は元通りに戻る。また歯の歯根は12~16ミリと深く、軽度歯周病で歯が抜けるまでには時間がかかるのに対し、重度の場合、1年で最大2ミリ以上の速さで骨が溶けるため早ければ数年で歯を失いかねません。まずは初診時に染め出し剤で磨き残しがある箇所を洗い出し、そこに対する磨き方や器具の指導を受けて自宅で実践してもらいます。口腔内のプラーク残存率を示す『PCR値』が歯周病治療における目標値の20%以下に達したのを確認したら、ペリオドを実施します。重度の歯周病でもブラッシングの継続で中等度まで改善し、外科治療なしでペリオドで完治された方もいらっしゃいます」

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