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AGA治療薬は高い効果が期待できる一方、深刻な副作用リスクも【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月6日 9時26分

AGA治療薬は高い効果が期待できる一方、深刻な副作用リスクも【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

気になり始めたら…

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 近年、テレビのCMなどで「AGA」という言葉をよく聞くようになりました。AGAとは「Androgenetic Alopecia」の略語で、日本語にすると「男性型脱毛症」です。

 男性ホルモンと遺伝が関連している脱毛症で、実際に悩まれている人、さらにはすでにAGA治療薬を使っているという人もいらっしゃると思います。今回は、このAGA治療薬についてお話しします。

 病院で処方されるAGA治療薬として、「フィナステリド」や「デュタステリド」(いずれも成分名)があります。語尾が似ていることからお気づきかもしれませんが、これらは効果を示すところが同じクスリです。具体的には、テストステロンからジヒドロテストステロンが生成される際に5α-還元酵素が関係していて、AGA治療薬はこの5α-還元酵素の働きを阻害することで効果を発揮します。

 こう聞くと、ジヒドロテストステロンが悪者のような感じがしますが、必ずしもそうではありません。ただ、毛髪にとってはあまり良いものではありません。ジヒドロテストステロンは毛髪のもとである毛母細胞の働きを低下させてしまうからです。AGA治療薬によってジヒドロテストステロンが作られなくなると、毛母細胞が元気になることで脱毛が改善されるのです。

 AGA治療薬の効果は成分によって異なりますが結構高く、たとえばフィナステリドであれば9割以上の方で進行を抑えられますし、6割くらいの方は改善が得られるとされています。薄毛に悩む男性にとっては、とても素晴らしいクスリだと思います。

 ちなみに、どういったタイミングでクスリを使い続ければよいかというと、「気になり始めたとき」だそうです。まだ大丈夫と思っているうちに症状が進行してしまうこともあるので、気になり始めたら一度病院を受診してみるのもひとつの手かもしれません。

 一方、注意すべき点もあります。先ほどジヒドロテストステロンは必ずしも悪者ではないという話をしましたが、ジヒドロテストステロンは男性外生殖器の形成に必要なホルモンでもあります。そのため、副作用として性欲減退や精液量減少といったものがあります。

 また、フィナステリドは胎児の生殖器に影響を及ぼすリスクがあり、さらには皮膚からも吸収されるため、特に妊娠中の女性は触れることも避けたほうがいいでしょう。パートナーとの妊娠を希望する場合には、AGA治療薬は避けたほうがいいかもしれません。

 いずれにしても、個人輸入などで入手すると副作用などのリスクが高いため、必ず病院などの医療機関を受診し、医師の指示の下で使用するようにしましょう。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

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