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「マイナ保険証」普及拡大へ支援金倍増でも…現場医師の批判は止まらない

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月9日 9時26分

「マイナ保険証」普及拡大へ支援金倍増でも…現場医師の批判は止まらない

政府の期待通りに導入は進まない(C)共同通信社

【仕事力がアップする経済ノート】

 マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の普及拡大に政府が手間取っている。厚生労働省は5~7月を「集中取組月間」とし、また利用者の増加に応じこれまでの最大20万円の医療機関などへの支援金を40万円に倍増した。

 しかし、現場の医師たちの反応は鈍く、逆に政府の一方的な方向に反発する声がやまず、マイナ保険証の普及は期待通り進んでいない。

 マイナ保険証は、2023年9月から医療機関、薬局でマイナンバーカードを健康保険証として利用登録することで医療機関の受診が可能になった。ただ、マイナ保険証を利用できるのは、「オンライン資格確認システム」を導入している医療機関や薬局に限られる。

 厚労省保険局による5月のマイナ保険証の利用率は7.73%(4月6.56%)。前月の1210万件から1425万件へと伸びてはいるのだが、気になるのが施設類型別の利用率だ。5月にマイナ保険証の利用率が最も多いのは病院で14.83%、続いて歯科診療所11.95%、薬局7.40%、そして医科診療所は6.47%と最も低い。伸び率も前月比0.6ポイントと最低だ。現場の医師の導入への反発を裏付ける数字といえよう。

 全国の保険医が加盟する全国保険医団体連合会が6月21日に発表した、全国1万件の医療機関への「マイナ保険証による医療現場のトラブル調査」によると、「無効・該当資格なし」と表示された医療機関は66.3%に上った。オンライン資格確認システムの不具合が原因で、保険証原本とオンライン上のデータの相違が多く、数カ月以上反映されていないケースが多発しているのだ。また、マイナンバーカードを読み取る顔認証付きカードリーダーの不具合でマイナ保険証の読み取りができなかったケースが48.4%など、トラブルが止まらない状態が報告されているのである。

 マイナ保険証の利用には、オンライン資格確認システム、顔認証カードリーダー、さらには電子カルテもいずれ必要になる。現場の医師が言う。

「こうした機材の導入は現在全て自己負担です。厚労省の支援金で賄える金額ではありません。そこまでするメリットは現場の医師にはありません」

■暗証番号を覚えていない高齢者も

 さらに、「現行の健康保険証の資格確認は月に1回ですが、マイナ保険証は受診の都度必要です。また、高齢者は顔認証が難しく、エラーが出れば暗証番号が必要ですが、覚えていない患者が多く、保険証の提示に戻ることが多いんです」。

 先の調査でも健康保険証を確認してトラブル対応したケースは74.9%にも上る。政府は今年の12月2日で現行の健康保険証を廃止する方向を示している。トラブルの解決を進めなければ、批判の声はさらに広がることになりそうだ。

(ジャーナリスト・木野活明)

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