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仁義なき「高校野球バット戦争」…メーカー同士で壮絶な密告合戦、足の引っ張り合い、広がる疑心暗鬼

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月10日 11時43分

仁義なき「高校野球バット戦争」…メーカー同士で壮絶な密告合戦、足の引っ張り合い、広がる疑心暗鬼

旧基準のバット(奥)と新基準の金属バット(C)共同通信社

 センバツが終了して約半月後の4月18日、高野連の発表が大きな波紋を呼んだ。

 ボルテカ、ハイゴールド、イソノ、三共スポーツ、ザナックスのメーカー5社から販売されていたバットに、一般財団法人製品安全協会が定めるSG基準に違反する商品があり、それが市場に出回っていたことが判明。いずれも回収及び、使用禁止となったのだ。

「基準に違反したバットを販売していたのは、5社だけではなかった。実はSG基準をすべて満たしたバットは14メーカー中、たったの2社だけ。にもかかわらず、5社だけが名指しで糾弾されたのです」とは、さる用具メーカー関係者だ。(【前編】からつづく)

■大手社幹部が激怒

 SG基準を満たしていたのは、たったの2社だけ。5社が糾弾され、3社が遅れて判明、残り4社は公表すらされていない現状には首をかしげざるを得ないが、前出のメーカー関係者は「そもそもの発端は、メーカーによる壮絶なチクり合いですよ」と、こう続ける。

「かつて高校野球における金属バットは一部大手メーカーの独壇場。2社で全体の9割を占め、それ以外のわずか1割前後のシェアを、他の複数メーカーが奪い合っていたという構図でした。しかし、低反発バットの導入が決まると、さまざまなメーカーが参入。センバツ1回戦32校のスタメン9人の使用シェアを見ると、ミズノが46.5%、SSKが20.1%、ゼットが16.7%、イーストンが11.1%、マルーチが2.1%……など、変動が起きている。シェア率が減ったメーカーの上層部がこれに激怒し、『実はあのメーカーのバットは基準に違反している』と高野連に“密告”。チクられた方も『それを言うなら、あのメーカーだって……』と、これも高野連にタレ込む。そんな状況が起きていると聞きます。高野連も違反バットで本塁打量産とか、打球でケガ人続出となったらたまらない。そこで、製品安全協会に14メーカーのバットを持ち込み、『全部調べてくれ』となったのが始まりです」

 この関係者はさらにこう続ける。

「違反バットが明らかになったこと自体は良いことです。ただし、センバツでは各メーカーから社員が派遣され、試合前にバットのチェックがあったが、そこでわかるのは壊れてないか、長さや重さに違反がないかなど、その程度です。もちろん、そんなバットはありませんでした。ただ、高野連もなぜ、違反した12メーカー全てを公表せず、一部だけ名指しにしたのか。公表する基準や公平性が疑われ、メーカーにさまざまな疑心暗鬼を生んでいるのです」

 高野連は「5社を発表した時は、すべての内容を把握していなかった。その時点でわかったことを発表した」と本紙に説明したが……。

 いずれにせよ、シェア率回復のためなら密告も辞さない仁義なきバット戦争。酷暑の中で試合をする球児と同様、こちらも汗と涙の美談では語れない。

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