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目を見張る市川團十郎の13役“ワンマンショー” 「星合世十三團」に客席どよめく

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月11日 9時26分

目を見張る市川團十郎の13役“ワンマンショー” 「星合世十三團」に客席どよめく

歌舞伎座(C)日刊ゲンダイ

 6月は博多座で、尾上松也の伊右衛門、尾上右近のお岩・小仏小平・佐藤与茂七で『東海道四谷怪談』が上演された。2人とも初役だったが、堂々と演じ、怪談ものを超えた、凄絶な悲劇を作り上げた。今年の前半、この2人は、とくに地方で目覚ましい活躍をした。そして7月、2人は歌舞伎座に帰ってきた。

 松也と右近が出るのは夜の部『裏表太閤記』。43年前に三代目市川猿之助(二代目猿翁)によって作られ、昼・夜通して上演されたものを、圧縮して夜の部だけで上演。「表」にあたるのが、松本幸四郎が演じる豊臣秀吉の物語で、「裏」として明智光秀による本能寺の変、水攻めにあう備中高松城の話などが描かれるという趣向。

 序幕は光秀(尾上松也)、信長(坂東彦三郎)、信忠(坂東巳之助)、光秀の妹で信忠の愛人お通(尾上右近)の物語で、これは政治劇と活劇、さらには恋愛劇として見ごたえがあった。

 二幕目が、備中高松城が秀吉によって水攻めにあっている話で、城主の軍師(幸四郎)とその息子(市川染五郎)のドラマなのだが、いまひとつ緊張感がなく、ゆるい。後半、幸四郎が秀吉となって登場し、軍師の息子とともに光秀と滝の中で対決するのだが、二対一になっても、松也の光秀のほうが強そうで、負けたようには見えなかった。この芝居でも、松也、右近が際立つ。

 順番が逆になったが、昼の部は、市川團十郎が『義経千本桜』の主要13役を早替わりで演じる『星合世十三團』。今月は昼・夜とも大長編の圧縮版だ。そう言えばコロナ禍後は『仮名手本忠臣蔵』も通し上演がない。興行として難しいとの判断なのか。

 團十郎が演じる13役のなかでも中心になるのは、渡海屋・大物浦では知盛、鮨屋では團十郎のワンマンショー的なものだが、いがみの権太、川連法眼館の狐忠信。

 かなり割愛しているが、物語は分かるようになっているし、團十郎の早替わりは、客席にどよめきを生む。なにしろ、たとえば、鮨屋の場では、権太と、父・弥左衛門と、弥助・維盛の三役を早替わりで演じていくのだ。

 宙乗りもあれば、満天の星や桜の花を過剰なまでに見せ、最後は映像でそれまでの13役を見せてくれるなど、あらゆる方法で目に訴える。

 昼の部は松也や右近たちが出ていれば、もっと面白くなったのではないだろうか。

 コロナ禍後は、歌舞伎座の座組も一門の壁を越えて、適材適所の配役が見られるようになっているなか、團十郎だけが、その流れに加わっていないのが残念だ。

(作家・中川右介)

  ◇  ◇  ◇

 香川照之といえば、かつては「悪役の名手」とでも言うべき立ち位置だった。しかし、「週刊新潮」の報道をきっかけにその座から転がり落ちてしまった。そんな“空席”に座ったのは…狂言師の野村萬斎だった!●関連記事【下剋上】野村萬斎が「アンチヒーロー」の怪演でヒールNo.1役者に “ポスト香川照之”に躍り出た!…では、その過程を詳報している。

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