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営業赤字が11期続くダイドーリミテッド「還元セール」の原資は…100円配当に50億円の自社株買い

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月11日 9時26分

営業赤字が11期続くダイドーリミテッド「還元セール」の原資は…100円配当に50億円の自社株買い

役員を送り込んだSCの丸木強代表(C)日刊ゲンダイ

【経済ニュースの核心】

 対立の構図を払拭し、融和ムードを演出する意図もあったのか。「ニューヨーカー」や「ブルックスブラザーズ」などのブランドを展開するアパレルの老舗、ダイドーリミテッドが先週末、取締役全員が出席するという、異例の記者会見を東京・秋葉原の本社で開いた。

 同社は定時株主総会での取締役選任議案を巡って会社側と、アクティビストとして知られる筆頭株主(議決権ベースで32.2%保有)の投資ファンド、ストラテジックキャピタル(SC)が激しく対立。抗議文が飛び交い非難の応酬となるなど“泥仕合”を繰り返してきた。

 結局、先月27日の総会は会社提案の取締役候補6人中5人が、SC提案候補6人中3人が選任される形で決着。総会後の会見で会社側はしきりに「ノーサイド」を強調していたが、それを具現化してみせたわけだ。

 もっとも本社会見は何も「一枚岩」を訴求したいがためだけに行われたわけではない。「株主還元の大幅な拡充」が趣旨だ。25年3月期の配当を前期実績(2円)の50倍。期初計画(5円)の20倍の100円に引き上げるというもので、しかもこれを3年間続ける。おまけに最大50億円の自社株買いにも踏み切るという。株価は一気にストップ高に跳ね上がった。

 市場が「腰を抜かした」(金融筋)のも無理はない。何しろダイドーは衣料事業の不振で11期にわたって営業赤字が続く。保有不動産や有価証券売却益の計上で直近2期は最終黒字を確保したものの、25年3月期の最終利益予想はわずか0.3億円にとどまる。24年3月末時点の利益剰余金も18億円弱の水準だ。それなのに大盤振る舞いともいえる「還元セール」を仕掛けるのである。

 市場関係者によると「還元原資をどう捻出するのかは謎だが、とにかく『買い』と飛び付いた個人投資家も少なくなかった」らしい。

 ダイドー側の試算では還元拡大に必要となる資金は「最大で134億円」(山田政弘会長兼CEO)としている。不動産の売却益で賄う方針だが、すでに表明している千代田区のホテルと文京区のオフィスビル2物件の売却だけでは「とても足りないハズ」と事情通。

 旧村上ファンドによる5.14%の株式取得も明らかになる中、中核物件である小田原市の商業施設「ダイナシティ」放出も取り沙汰されている。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

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