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糖尿病と自殺・事故リスク…70歳定年時代に備えて知っておきたいこと

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月11日 9時26分

糖尿病と自殺・事故リスク…70歳定年時代に備えて知っておきたいこと

糖尿病の人がうつ病を合併すると死亡率が1.6倍に…(C)日刊ゲンダイ

 いまだに糖尿病を軽い病気だと考えている人がいるが、その考えは改めた方がいい。糖尿病は神経障害、視覚障害、腎障害などを合併しやすいだけでなく自殺とのかかわりが強いうつ病を発症しやすく、自殺・事故リスクをアップさせるからだ。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に話を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

「これまでの研究から糖尿病の3割にうつ症状があり、糖尿病患者の13%は不安障害、11%はうつ病と診断され、5.7%は抗うつ薬を服用しているとの報告があります。その原因はさまざまですが、もっぱら行動上の要因が大きいといわれています。例えば糖尿病では食事制限などの自己管理を長い間求められることがストレスになります。そうした人がうつ病を発症して体を動かさなくなると糖尿病が進行する悪循環に陥るのです」

 糖尿病の人がうつ病を合併すると死亡率が1.6倍、医療費が4.5倍に膨れ上がるとの報告もあるから恐ろしい。さらに自殺・事故リスクがアップするとの見方もある。

「『日本における糖尿病の既往歴と自殺・事故リスク:1990年~2012年日本保健センター前向き研究』という研究論文があります。1990年と1993年に全国11保健所管内に住む40~69歳の約14万人を2012年まで追跡調査した結果にもとづき、糖尿病と自殺および事故との関連を調べたものです」

 約14万人のうち、解析条件に適合し対象となったのは10万5000人。研究開始時点で糖尿病になったことがあると回答したのは約4900人で、そのうち追跡調査中に自殺したのは41人、事故で亡くなったのは72人だった。

■生活習慣の変化や心理的ストレスが影響

 一方、研究開始時点で糖尿病になったことがないと回答した人のなかで追跡調査中に自殺したのは577人、事故で亡くなったのは727人だった。解析の結果、糖尿病になったことがあるグループの自殺・事故リスクは、糖尿病になっていないグループと比較して高いことが観察され、とくに40~49歳では約2倍、50~59歳では約1.4倍有意に高いことが報告された。ただし、60歳以上では統計学的差はなかったという。なぜ、糖尿病の人は自殺・事故リスクが高いのか?

「はっきりしたことはわかりません。しかし、先に述べたように糖尿病はうつ病と強い関係にあることがさまざまな研究で明らかにされており、そのうつ病は自殺の強い危険因子であることが知られています。自殺の背景に糖尿病が関連しているのではないか、と考えられます。糖尿病に伴う抑うつ状態や視覚障害から、交通事故や高所からの転倒・転落などの不慮の事故に遭いやすいことも関係しているでしょう」

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