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部下を成長させたければ結果ではなくプロセスを具体的に褒めよ【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月12日 9時26分

部下を成長させたければ結果ではなくプロセスを具体的に褒めよ【科学が証明!ストレス解消法】

褒めてもらうとすごく嬉しい。認められたという気持ちがヤル気UPに(C)日刊ゲンダイ

【科学が証明!ストレス解消法】#173

「最近の若者はダメだ」と嘆く世のビジネスパーソンや教育者の声をよく聞きます。ですが、今に始まった話ではなく、紀元前の書簡にも「最近の若者は……」と書かれていたといった話があります。

 いつの時代も上の世代は、若い世代に不満を持つものです。年の離れた人たちがうまく付き合っていくには、お互いが努力し、ギャップを埋めていくしかありません。そこで大事なことが「褒める」です。

 人間は褒められることが大好きです。なぜ褒められるのが好きか? それは自分が一番関心を持っているのは、自分自身の評判だからです。人は誰かに認められたい動物で、どんな立場でも年齢でも、自分自身のことや自分が興味関心を持っていることを褒めてもらうとうれしいと感じる生き物なのです。そして、認められたという気持ちが、さらなるやる気やモチベーションへと変化していきます。こうしたロジックをそのまま人間関係でも生かすことが大切です。

 例えば、「この資料をコピーしてきて」と頼まれ、コピー資料を渡したとき、「もっと早くやってくれ」と言われるのと、「丁寧で助かるよ」と言ってもらえるのとでは、後者の方が圧倒的にやる気につながります。役に立っている実感を得られると満足する──こうした本能を自己効力感というのですが、褒められることと同様に、役に立っていると感じさせることも重要なのです。

 つまり、褒めるときは具体的に褒める。否定語を使わない。結果ではなくプロセスを褒める。こうしたアクションが欠かせないというわけです。称賛によってモチベーションを高める効果のことをエンハウジング効果といいます。褒められると自信がつき、さらなる成長や努力につながる。このような心理的効果があることは科学的にも実証されているんですね。

 発達心理学者のエリザベス・B・ハーロックが1925年に行った賞罰実験があります。これは、子どもたちを3つのグループに分け、算数の試験を数回受けさせるというものでした。

 ①試験のたびに褒められ続けるグループ②試験のたびに叱られ続けるグループ③何も言われないグループという具合に分けたところ、褒められ続けた①のグループは徐々にやる気が向上し成績が上がりました。半面、叱られ続けた②のグループは、最初こそ叱られないように努力したものの、その後も叱られ続けるとやる気が低下していったといいます。このように「褒める」「叱る」という行為は人間のやる気をダイレクトに左右する行為であると分かります。

 一方で、褒める際に気を付けなければいけないこともあります。それは、外発的動機づけ(報酬や褒美など)を与えること。「自分の意思で行動している」という自己決定感を失わさせてしまいます。趣味で絵を描いていた人に、報酬を与えて描かせると、描く楽しさが減少してしまうように、褒める行為と外発的動機づけを一緒くたにしてはいけません。本人の意思でやる気が増幅するように褒める。これこそが大切なのです。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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